takebonoマンガ夜話3

2005年1月20日
名作中の名作。僕がtakebonoとして、マンガという芸術表現に魅せられるようになったきっかけはこの作品だった。『銀河鉄道999』。 その中でも、何度となく読み返し、涙したのが9巻「永久戦闘実験室」。
惑星ライフルグレネードに降り立った鉄郎とメーテルは、そこで本物の戦争をみる。その星は、戦争を観光客へのショーにして儲けている星だった。殺し合ってる兵士達は、コンバットモルモットと呼ばれるその星の労働者たちである。観光客は防弾ガラス越しに生の戦闘を見ながら、食事を楽しむことができるのだった。 鉄郎を撃った反乱兵ゼーダが叫ぶ。「人の死をサカナにめしを食うハゲタカめが!…俺たちの血を見ると食欲がよりわいてくる吸血鬼どもだ!」 鉄郎は人間の尊厳をかけて、ゼーダと共に広大な熱砂漠を歩く。 「苦しいか?」「苦しくない!苦しくなんかないぞ!苦しくても苦しくなんかないぞ!!」鉄郎の魂の叫びは、沈んだときの僕をいつでも励ましてくれた。 そして、惑星ライフルグレネードに遂にコンバットモルモットたちの反乱が起こり、友情の芽生えたゼーダと鉄郎の別れの時がやってくる。「…じゃな、これでさよならだぜ、鉄郎…。俺たちは反乱軍になったんだ、この星の支配者どもとの戦いが始まったんだ。今度お前がこの星に降りる時には俺たちの政府ができているだろう。今より貧しいかもしれない、戦争の見せ物もないけど、きっと平和になってる。…でもな、鉄郎よ。なるべくなら…ここに戻ってくるとき…機会の体でなんかくるなよな…その生身のままのお前が俺はすきだ。…明日死ぬかもしれないけど、俺は永遠の命なんてほしいとは思わないぜ…」 ゼーダの言葉は鉄郎の心に、そして当時中学生の僕の心に突き刺さっていった。 その後、鉄郎を乗せた999がライフルグレネードを飛び立ったあとで、鉄郎はゼーダたちの反乱が鎮圧されたことを知る。「…ゼーダはあれほど歴史が変わると信じていたのになあ…」 メーテルに隠れて、一人っきりで鉄郎は泣く。メーテルは気がついていた。自分のことではめったに涙など流さない鉄郎が、他人のためにはよく涙を流すことを…。ゼーダの死に、信じている友達のために、男として涙を流す鉄郎の姿は、僕はもう涙なくしてはみられないのである。どうか世界が平和になりますように…。

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