うたかたの夏の日
2005年7月10日朝っぱらから教員採用試験。絶対受からない試験に、僕はスーツを着て臨んだ。受験票に写真すら貼ってなかったので、駅で写真撮って、新宿から京王線で下高井戸の日大まで。 試験は難しかった。しかしこんなんで教師が決まるのかと思うと、なんだかなあとも思う。くだらない問題ばかりだ。東京中の教師志望者が集まってきたっつうのにさすがマンモス日大は広く、いま日大でテロ起きれば、未来の教師が全員死んで、日本の未来は危ういかもなあ、なんてバカなことを試験中ずっと考えてた。やるきね〜。
ID君も受けに来てた。終わった後クソ暑い中帰るのにもイラついたので、二人で吉祥寺へ。まあお疲れということで、お好み焼き屋でビールを美味しく頂いた。結構いい時間飲み食いしたのにまだ外は明るく、もう一軒。吉祥寺の裏通りで見つけた素敵なバー。店内は静かでBGMカーペンターズとかがかかってて、人が誰もいなくて貸し切り状態で、渋いマスターと、若いバーテンダーの兄ちゃんがカウンターにいた。適当にカクテルとか飲んでると、マスターが買い物かなんかに出掛けちゃって、バーテンの兄ちゃんと話し込んだ。25才のその兄ちゃんの名前は「キヨ」。最初はお互いのこととか、大学のこととか、最近のこととか話してたけど、途中からキヨのテンションが上がってって、いや初めから彼は少し酔ってた感じはしたけど、店の酒を勝手に持ち出してきてついじゃったり飲んじゃったりするようになって、カウンター内でふらつきながら喋るようになってった。冷蔵庫からメロン出してきて「食べてよ〜」とか言う。「あ〜タマネギもあるな〜」とかって取り出したのはグレープフルーツだった。やべえ。こいつ相当酔ってる。バーテンがこんなに酔ってて他に客とか来たらどうすんだこれ? キヨの行動は益々酷くなり、僕のことを「横井」とか言い出した。ろれつが回らなくなり、店の入り口に向かって中指を何回も立てたり、「○○(たぶん店長の名前)〜!ぶっ殺す〜!」とか叫ぶようになった。カウンター内の酒とかこぼしちゃうし、グラスも落っことしまくってた。泥酔まであと一歩だな。聞けばこんな夜勤なのにキヨは薄給で、今月で違う店に移るそうだ。だからちょっとだけ荒れてたのかもしんない。そうこうしてる間にマスターが帰ってきて、「お前…なにやってんだ?」とかって、腕掴んで店の奥の方にキヨはつまみだされてしまった。「すいませんでした」と渋いマスターはその後色々サービスしてくれた。
僕としては、すげー楽しかった。キヨに色々人生のこととか話して、すげー満足した。「金掴んでいい暮らししてる奴らも結構つまんねえ生活だなあって思ってるんだろうし、乞食みたいな成功しなかった奴らもサラリーマンを見下しつつも困窮してるじゃねえか。自分の状況に満足できた奴が勝ちなんだと思うのよオレは」とかキヨは言っていた。「やりたいことやってほしいのよ。もったいないじゃんって思うのよ」と。その後「…でも家族や安定もほしいけど」とぽつり。
キヨが移るという高田馬場の店に今度飲みに行ってやろう。絶対僕らのことは覚えてないだろうけどな。
その後地元戻ってSK兄貴とファミレスや公園で飲みながら色々語った。大学以外で語り合える友達は嬉しいわ。土手で一服しながら夜明けを迎えた。汗の臭いとマルボロの煙と、緩やかな川の流れ。結局夕方から明け方まで飲みっぱなしだったなあ。
朝がやってきたのだ。夜と朝がつながってるってこと、一体いつから僕らは知ってしまったのだろう。何万回も太陽が昇り沈み、僕らは生きてゆき、死んでゆく。この瞬間があって未来がある、この使い古した生命がそれでも躍動するこの感じ。フレームに切り取りたくなるくらい味があるんだろう。だけど間違いなく、生きてるって面白いことなんだ。世界はどこまで続くんだろう。僕はいつまで僕で在りながら生きてゆくんだろう。そんなことだけをただ思った。思わなくてもいいことを、でも思ったっていい。夜明けを前にちっとも眠くなかった。 今日も朝はやってきた。もしかしたら2度と見れないような光が、いつも通り街を包んでいった。
ID君も受けに来てた。終わった後クソ暑い中帰るのにもイラついたので、二人で吉祥寺へ。まあお疲れということで、お好み焼き屋でビールを美味しく頂いた。結構いい時間飲み食いしたのにまだ外は明るく、もう一軒。吉祥寺の裏通りで見つけた素敵なバー。店内は静かでBGMカーペンターズとかがかかってて、人が誰もいなくて貸し切り状態で、渋いマスターと、若いバーテンダーの兄ちゃんがカウンターにいた。適当にカクテルとか飲んでると、マスターが買い物かなんかに出掛けちゃって、バーテンの兄ちゃんと話し込んだ。25才のその兄ちゃんの名前は「キヨ」。最初はお互いのこととか、大学のこととか、最近のこととか話してたけど、途中からキヨのテンションが上がってって、いや初めから彼は少し酔ってた感じはしたけど、店の酒を勝手に持ち出してきてついじゃったり飲んじゃったりするようになって、カウンター内でふらつきながら喋るようになってった。冷蔵庫からメロン出してきて「食べてよ〜」とか言う。「あ〜タマネギもあるな〜」とかって取り出したのはグレープフルーツだった。やべえ。こいつ相当酔ってる。バーテンがこんなに酔ってて他に客とか来たらどうすんだこれ? キヨの行動は益々酷くなり、僕のことを「横井」とか言い出した。ろれつが回らなくなり、店の入り口に向かって中指を何回も立てたり、「○○(たぶん店長の名前)〜!ぶっ殺す〜!」とか叫ぶようになった。カウンター内の酒とかこぼしちゃうし、グラスも落っことしまくってた。泥酔まであと一歩だな。聞けばこんな夜勤なのにキヨは薄給で、今月で違う店に移るそうだ。だからちょっとだけ荒れてたのかもしんない。そうこうしてる間にマスターが帰ってきて、「お前…なにやってんだ?」とかって、腕掴んで店の奥の方にキヨはつまみだされてしまった。「すいませんでした」と渋いマスターはその後色々サービスしてくれた。
僕としては、すげー楽しかった。キヨに色々人生のこととか話して、すげー満足した。「金掴んでいい暮らししてる奴らも結構つまんねえ生活だなあって思ってるんだろうし、乞食みたいな成功しなかった奴らもサラリーマンを見下しつつも困窮してるじゃねえか。自分の状況に満足できた奴が勝ちなんだと思うのよオレは」とかキヨは言っていた。「やりたいことやってほしいのよ。もったいないじゃんって思うのよ」と。その後「…でも家族や安定もほしいけど」とぽつり。
キヨが移るという高田馬場の店に今度飲みに行ってやろう。絶対僕らのことは覚えてないだろうけどな。
その後地元戻ってSK兄貴とファミレスや公園で飲みながら色々語った。大学以外で語り合える友達は嬉しいわ。土手で一服しながら夜明けを迎えた。汗の臭いとマルボロの煙と、緩やかな川の流れ。結局夕方から明け方まで飲みっぱなしだったなあ。
朝がやってきたのだ。夜と朝がつながってるってこと、一体いつから僕らは知ってしまったのだろう。何万回も太陽が昇り沈み、僕らは生きてゆき、死んでゆく。この瞬間があって未来がある、この使い古した生命がそれでも躍動するこの感じ。フレームに切り取りたくなるくらい味があるんだろう。だけど間違いなく、生きてるって面白いことなんだ。世界はどこまで続くんだろう。僕はいつまで僕で在りながら生きてゆくんだろう。そんなことだけをただ思った。思わなくてもいいことを、でも思ったっていい。夜明けを前にちっとも眠くなかった。 今日も朝はやってきた。もしかしたら2度と見れないような光が、いつも通り街を包んでいった。
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