以前あのTKが奨めてくれた、町田康の「告白」を読み終えました。とっても長く、久しぶりにしっかり読めた。
−人はなぜ人を殺すのか…? 河内音頭のスタンダードナンバーとして唄われ、実在の大量殺人事件である「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説…。
河内の農村のお話で、貧乏百姓の家に生まれた主人公・どうしようもない半端者・熊太郎。紆余曲折を経て彼が凶行に走るまでを彼の内的面から淡々と描かれるのですが、その人間模様が何だか笑えたし、切なかった。人間というのはこういう側面もあるのだ。そう、あるのだ。「心の闇」すら綺麗事に聞こえるほど、それほどに熊太郎の人生は何もかもダメダメで、いつもどうしようもない方向へ走っていくなのです。 とりわけ幼少の頃の殺人の記憶が、後人生を全て狂わせていくのだけど、恐らくその記憶自体も熊太郎の「闇」の一部だったというか。人間とはこんなにもちっぽけで複雑で安易で純粋で困難に切なく生きているのだと思うと、考えちゃう。 人は誰しもが抱える「闇」。でもその「闇」を歪ませていった先に凶行があるのかもしれない。いつだって、自分の闇と誰かの闇を傷つけ合ったり傷をなめ合ったりしないで、共存していけたらと思う。その闇が互いにとって光になるように。闇のままに闇を照らす光、それこそがまた闇でもあるのだ。やはり人間は影なのだ。朧に現れ消え、照らす光に出会おうとする。闇という光で闇を照らすことこそが、僕の輝きでもあるのでしょう。
しかしラストで10人斬り殺すシーンは圧巻だった。姦通した嫁を撃ち殺すシーンが切なかった。警官隊に追われる最中、手負いの熊太郎は、復讐に狂い再び凶行を繰り返そうとした凶行の共犯者・弟分の弥五郎に対し、銃口を向ける。切なすぎるラストに、僕は分厚い本を静かに閉じました。
「思弁と言語と世界が虚無において直列している世界では、とりかえしというものがついてしまってはならない。考えてみれば俺はこれまでの人生のいろんな局面でこここそがとりかえしのつかない、引き返し不能地点だ、と思っていた。所がそんなことは全然なく、今から考えるとあれらの地点は楽勝で引き返すことの出来る地点だった。ということがいま俺をこの状況に追い込んだ。つまりあれらの地点が本当に引き返し不能の地点であれば俺はそこできちんと虚無に直列して滅亡していたのだ。ということはこんなことをしないですんだということで、俺はいま正義を行っているがこの正義を真の正義とするためには、俺はここをこそ引き返し不能地点にしなければならない」
そして明日から放浪旅行です。明日の夜行でまず京都まで行きます。河内地方も見てこようと思いました。その後は四国大陸へや中国地方をまわろうかな。 もう鈍行電車旅も慣れたもんよ。今日はゆっくり明日の準備をしました。明日は出発前に日記を更新しますわい。
−人はなぜ人を殺すのか…? 河内音頭のスタンダードナンバーとして唄われ、実在の大量殺人事件である「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説…。
河内の農村のお話で、貧乏百姓の家に生まれた主人公・どうしようもない半端者・熊太郎。紆余曲折を経て彼が凶行に走るまでを彼の内的面から淡々と描かれるのですが、その人間模様が何だか笑えたし、切なかった。人間というのはこういう側面もあるのだ。そう、あるのだ。「心の闇」すら綺麗事に聞こえるほど、それほどに熊太郎の人生は何もかもダメダメで、いつもどうしようもない方向へ走っていくなのです。 とりわけ幼少の頃の殺人の記憶が、後人生を全て狂わせていくのだけど、恐らくその記憶自体も熊太郎の「闇」の一部だったというか。人間とはこんなにもちっぽけで複雑で安易で純粋で困難に切なく生きているのだと思うと、考えちゃう。 人は誰しもが抱える「闇」。でもその「闇」を歪ませていった先に凶行があるのかもしれない。いつだって、自分の闇と誰かの闇を傷つけ合ったり傷をなめ合ったりしないで、共存していけたらと思う。その闇が互いにとって光になるように。闇のままに闇を照らす光、それこそがまた闇でもあるのだ。やはり人間は影なのだ。朧に現れ消え、照らす光に出会おうとする。闇という光で闇を照らすことこそが、僕の輝きでもあるのでしょう。
しかしラストで10人斬り殺すシーンは圧巻だった。姦通した嫁を撃ち殺すシーンが切なかった。警官隊に追われる最中、手負いの熊太郎は、復讐に狂い再び凶行を繰り返そうとした凶行の共犯者・弟分の弥五郎に対し、銃口を向ける。切なすぎるラストに、僕は分厚い本を静かに閉じました。
「思弁と言語と世界が虚無において直列している世界では、とりかえしというものがついてしまってはならない。考えてみれば俺はこれまでの人生のいろんな局面でこここそがとりかえしのつかない、引き返し不能地点だ、と思っていた。所がそんなことは全然なく、今から考えるとあれらの地点は楽勝で引き返すことの出来る地点だった。ということがいま俺をこの状況に追い込んだ。つまりあれらの地点が本当に引き返し不能の地点であれば俺はそこできちんと虚無に直列して滅亡していたのだ。ということはこんなことをしないですんだということで、俺はいま正義を行っているがこの正義を真の正義とするためには、俺はここをこそ引き返し不能地点にしなければならない」
そして明日から放浪旅行です。明日の夜行でまず京都まで行きます。河内地方も見てこようと思いました。その後は四国大陸へや中国地方をまわろうかな。 もう鈍行電車旅も慣れたもんよ。今日はゆっくり明日の準備をしました。明日は出発前に日記を更新しますわい。
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