Hが薦めてくれた漱石の「それから」を読みました。
−主人公・代助は、大学を卒業したが職業も持たず、一軒家を構え、書生を置きながら、月に一度は本家に金を貰いに行くという「遊民」であった。彼は自らを、職業のために汚されない内容の多い時間を有する「上等人種」と考え、芸者遊びや園遊会を嗜み、労力は生活以上の働きにより名誉になるという思想を持ちつつ、日々を遊民として過ごす。友人の平岡は彼のことを単なる「坊ちゃん」だと嘲る。彼は自らを「特殊人(オリジナル)」だと考えるが、実生活に根を持たぬ思索家であった。30歳になっても尚遊民生活を続ける代助に、実業家の父・得は地主の娘との結婚話を強く迫る。「遊民」代助を心配する兄夫婦・誠吾と梅子。脳天気な書生・門田。「遊民」代助を取り巻く様々なキャラクターと、どこか優雅で情緒的な漱石ワールドが、明治末期の東京下町を舞台に優雅に展開される。
友人平岡の妻・三千代は、かつて代助が恋しながらも自ら周旋し平岡に嫁せしめた女性であった。3年の月日を経て再会したとき、平岡と三千代との間に生じている間隙は、代助の愛を復活させる理由を正当づけていた。三千代もまた代助の想いに手を委ねてゆくが…。

「…父のあとには兄がいた。嫂がいた。これらと戦ったあとには平岡がいた。これ等を切り抜けても大きな社会があった。個人の自由と情実を毫も斟酌してくれない器械のような社会があった。代助にはこの社会がいま全然暗黒に見えた。代助は全てと戦う覚悟をした」

「遊民」代助が破綻してゆく様が、とても悲しいんだけど同情は全く出来ず、それがなんとも優雅で情緒がありました。代助の自業自得といえばそれまでだが、とても親しみを感じ多少の共感を覚えるのは僕がきっとクズだからだろう。高等ルンペンの元祖ということで、恐らくはM先生を通じてHは僕にこれを薦めたのかもしれないな。 現代的な高等ルンペンの道もこんな所からヒントにして始まればいいのかもしれない。その結果、僕も破綻するのだろうか。友達の奥さんに手を出すことはないだろうけど。

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