僕らの父親たちが若い頃は、大学を出さえすれば大企業就職。定年まで安定給料が期待されていた。でも今は大卒でもフリーターにしかなれない若者も多いし、大企業も倒産やリストラと無縁でない。当時の「学歴」ってなんだったんだい?それは「希望」だったのかい?

今現在「学歴」はインフレしてる。僕の通う大学で、キャンパスや教室で周りを見渡せば、中学生みたいな大学生がいる。バカかこいつって思うくらい幼稚な大学生もいる。欠けてるのは知識や経験とかだけじゃなく、意識及び姿勢もだと思う。どっかの専門家みたいに、分数だの漢字だので「学力低下論」なんて語りたくもないけど、でもしかし大学生のレベル(という基準があるとして)は明らかに落ちていると思う。なにも学生運動やれとか言うわけじゃない。でも、こんな奴が大学生なのかよっていう連中が多くないかっていつも思うのだ。そう、まるで子どもなんだ。物質欲・消費欲とヘボいプライドだけが大人感覚で。あと何もないの。探求心も、知識欲も、行動力も、「大学生」らしいソウルの何もないの。なんか枠組み通りに縮こまってる。そのくせ見栄を張ったり、見て見ぬふりをする。すげえ醜悪。受験競争システムと現代的豊かさの申し子として、脳死学生が大量生産されてる今、大学はもはやレジャーランドであり、就職予備校であり、モラトリアム消費機関なのだと改めて実感する。
学歴インフレは、ニューエコノミー下において、学歴自体を段々と着実に形骸化していってる。社会において進行するリスク化と二極化に対し、学校教育システムはあまりにも不対応でありすぎた。仮に学校教育とは?を考えたとき、それを「人格の形成」という抽象的結論に求めるヒューマニズム教育者はそれでよくとも、社会学的に見れば学校教育とは「階層上昇の手段」「職業配分の道具」に他ならない。ある人材に適正な能力を教授し社会における適正なポストに配分することこそが教育の目的である。受験や入試もそのためにある。能力の伴わない者が不適正なポストに着くことで起こる社会混乱を防ぐために。一方で、階層を上昇するためにも教育は使われる。高給取りになれるからこそ、みんな東大を目指すのだ。 オールドエコノミー下ではこのパイプラインが見事に機能していた。故に安定が約束されていた。学校教育がこのパイプラインの上に胡座をかいていられたのは、「学歴があれば大丈夫」神話こそが、学校という収容所への求心力を維持していたにすぎないといわれる。今日の「教育問題」は、パイプラインの機能不全によるものであるという。きっと恐らく僕らの世代はその真っ只中を歩いてきたように思う。パイプラインから「漏れる」ことを、完全に理解はせずとも、学校教育への求心力は確実に下がっていたように思うからだ。失うものもなければ、そう、「希望」がなければ、学校に執着する意味だって僕らには無かったのだ。
学校教育という、社会とのパイプラインの機能不全が、何を引き起こしたのか?それはパイプラインの亀裂から生じる「漏れ」である。そしてその受け皿は全て「フリーター」に集約されていった。

大学院における「漏れ」を見てみる。まず大学院博士号取得者が毎年1万人を超えているという実態があり、一方で少子化等からくる大学入学者不足による、学部の統廃合という状況が、大学経営における雇用数も減少させている。博士課程を修了しても、大学の先生には一生なれない「博士」が、毎年7000人以上誕生していることになるという。「大学院まで進学した」というブランドとプライドと、そこまでに費やした金と時間の投資を「無駄にしたくない」と考える彼らは、不安定雇用に就きながら大学雇用ポストの空きを狙って息を潜めて待機している。この状況で20年後には、大量の中年フリーター「博士」が出現するとまで予想されている。「超高学歴フリーター」の本格的増加が危ぶまれている。
工業高校における「漏れ」を見てみる。ニューエコノミー下で企業の工場自体が低賃金のアジア等に国外流出しているため、20年前に比べ雇用はガタガタ。特に地方では、卒業後の工業以外の不安定就業が増大しているという。
各種学校・専門学校の「漏れ」は救いようがない。ミーハーな職業観に飛びついてきた人たちが、需要以上の過剰供給となり、卒業後も希望の就職ができない状況にある。既に溢れちゃってるってこと。
一般文化系大学の「漏れ」は量的に最も多い。バブル以降は完全に崩壊したパイプラインである。就活がんばっても中堅ホワイトカラーにも採用されないことが多々あるし、大卒学歴が無意味な職種に就くことも多い。まあ社会学部なんてまともにやったら社会人になんかなれなくなるし、僕の場合それはそれでいいけど、結局一般文系ってニューエコノミーになんら貢献できないってこと。

進路によっては「漏れ」が少ないパイプラインもある。「乗り続けられる」か「漏れる」かは、運や実力、それに状況の格差がやはりものを言う。結局、学校に入ることが職を保証してくれない時代がきてるのだといえる。
〈つづく…〉

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索