今日は「有期雇用」について論じよう。
有期雇用とはその名の通り有期な雇用のことです。終身雇用が崩壊し非正社員化が進むということは、有期雇用が増えるってことでもあります。有期雇用者はフリーターだけじゃなく、主婦や中高年も多い。最近ではさらに人件費を削るため、企業や自治体は人を直接雇用せず、派遣社員や請負社員に委ねる「間接雇用」が多い。ハッキリ言って、これほど不安定で不安なものはない。次の更新時にクビられるかもわかんないからね。経営者にとっては素晴らしいロジック「有期雇用」。いくらでも流動的に人員を整備できるし、一つの仕事ごとに適性と人数を計算して効率的にやれる。そう、効率的にね。おかげさまで経済は人間市場の規制緩和により回る。末端労働者の経済的・精神的不安定と引き替えに回る。派遣労働の規制緩和は政府による諸処の改革の成果でもある。製造業だけでなく、建設や港湾とかもそのうち派遣がOKになるんだろう(もっとももう既に違法に派遣されてるがね)。 自分の置かれた立場における現実として、多くの人によく見ておいてほしい。これが「痛み」だと思うよ。

有期雇用の上限は、1988年の労基法改正までは原則1年だった。(そもそも法的には、あの女工哀史の時代くらいまでさかのぼって、あの劣悪環境人身拘束長期間労働は忍びないという温情的な取り決めだったらしいが…)いくつかの改正を経て今は上限3年で、専門者と高齢者は5年である。…あれ?労働契約期間が原則1年より3年の方が、有期で働く側にとってはありがたいじゃん〜。お上もたまにはいいことするね〜、っていうのはやはりおめでたくて、むしろこの規制緩和は経営者側の声を受けてのものだったという。そこには興味深い過程がある。

上限が原則1年だったときは、1年以上働く(働かせる)ときはその度に更新しなきゃ(させなきゃ)なんなかった。その際、何回も更新(「反復更新」)させておいて「急にご用済み」にすることは、実は法律が認めておらず、「解雇権の乱用」にあたっちゃうらしいのだ。厚生労働省の研究会が様々な裁判例を分析し公表した結果は、「反復更新を繰り返した末の「雇い止め(契約更新しないケース)」には合理的な理由が必要になる」というものだった。そう、だから経営者側は、上限1年の中で反復更新を繰り返すことには使い勝手の悪さを感じてたのです。そして改革にて期間3年への規制緩和を要望し実現させたのです。「3年雇用保障したんだから」で裁判等は充分企業側有利になるってことだよね。 法も司法も強者の味方か。

有期雇用者の働く理由トップは…、短時間パートの人では「家計補助」(47%)。これはたぶん主婦とかパラサイトが可能な人たちだろう。家計の補助として有期雇用を考えてる人たちは短時間労働でむしろ都合がよい場合もある。 一方で、長時間パート(労働時間は正社員並み)の人では「正社員として働ける職場がない」(41%)がトップ。パラサイト不可能な人たちは長時間働かなきゃならないし、安定した正社員を希望しても願いはなかなか叶わない。 契約社員の人たちは「これまでの経験を生かせる」(40%)がトップ。不安定就業だというのにね。 契約期間終了時の希望は「契約更新」(66%)がトップ。「正社員にしてほしい」(9%)が2番目。正社員になりたくないわけじゃない人もいるけど、もう諦めモードなんだそうだ。正社員のキツさも見てるのだろうし。企業は嬉しいけどね。

そして現状では色々な問題が起きてる。先ほどの話では原則上限3年に決められたはずの法律が、企業によっては普通に守られてなかったりする。むしろ3ヶ月や1ヶ月更新はそれほど珍しくない。そんな中では労働者の権利主張などもはや有り得ない戯言になる。経営側はいつもの決まり文句を言うだけ。「代わりはいくらでもいるよ」と。 労働条件の切り下げも常態化している。昇給どころか、更新の条件に賃金切り下げを提示してくる場合もある。「嫌なら辞めてちょ」と。 一部ではセクハラやパワハラも起きているという。特に非正規雇用の中心である主婦や若者は全くの無知無力なので、企業はやりたい放題だ。
「有期雇用」は様々な環境が未成熟なまま、社会的弱者を飲み込み拡大してる。それで成り立っているし、経済は回ってゆく。人材派遣業とかは今後伸びてゆくんだろう。 止められないから我慢する?我慢するから止められないんじゃないの? どっちにしろ弱者はこの構造の中では厳しくて、そのうち潰れてくと思う。どうすれば、いい?

これからの人間はどこまで使い捨てられていくのだろうか。取り返しのつかなくなる前に、破壊されてるものに向き合わなきゃいけないのだけど…。
僕はいつまで弱者の立場で在れるのだろうか。強者の論理は、やはり充分に戦える者ほど選んでしまうものだろう。 弱いままだから弱者の立場で在ろうとするの?強くなっても弱者の立場で在ろうとすることができるの? 今は脆弱な僕が、仮に強くなった後で、尚、弱者の立場に立てることができるのだろうか?そんなことは、何がどう甘かったり若かったりして、ダメなように言われるんだろうか?
どうにもなりそうもない現実のことをもっと知ろうとすることや、そこからなんか希望のようなものを捻り出してゆくことって、そんなに愚かなことですか? 弱肉強食にやりきれなさを感じるのは、僕がクズだからですか? 何も得ていないから?失えるものがないからなのですか?
自分のことに精一杯な中でも、どれだけ他人のことや世界のことを考えられるのか。きっとこれから真剣に考えるときがくると思う。
〔続く〕

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