雇用は破壊されかけてる。そいつを論じる。ただ、それを「破壊」と見るかはわからない。しかし実際に「労働」というものがどこか従来の終身雇用型のものから、様々な面で変わりつつあることは否めません。
まず非正規社員の増加。そして先に述べたようにフリーターの雇用形態が直接雇用から間接雇用に移りつつあること。企業が正社員やバイトを直接雇うのではなくて、派遣会社から派遣してもらったり請負会社に代行してもらったりするケースだ。派遣という形。これだと人事管理が簡単になり、社員教育投資もいらない。福利厚生も社会保険も雇用保険も、退職金のための引当金(将来積立金)も、負担はゼロ。そりゃ借りてるだけだからね。残業手当も有給も関与しない。 働く側から見れば、別会社へ送り込まれてるということになる。ここにも色々問題が生じてる。いろんな面で不安定だなと思う。ポスト終身雇用型の課題は多い。

有名なトヨタの「カンバン方式」だとか、或いは「受注生産」だとか。オンデマンドだとか。いまや労働力がそれ。人間が「効率的」な名の下のそれ。多様で実に効率的に人は使い回され、使い捨てられる。全ては金と契約。義理も人情も努力論も精神論もそこに入る余地はない。労働はもう尊いものでは無い。労働の尊さを巡ってはよく両親と意見が衝突する。僕はアフターバブル世代だからだ。 オール自己責任。そして、だからこそ自分で自分を守らなきゃいけない時代。

製造業現場はいま派遣社員、請負社員、外国人労働者でもっている。深夜や早朝のきつくて単調で低賃金労働を彼らが引き受ける。その数の公式統計は存在しない。 熾烈なグローバル競争下にあり、多くの製造業が東アジアに工場を作り安価な労働力として現地人を雇う中で、対抗するには日本国内の工場も安価な労働力を使わざるをえない。それを担うのが彼ら。労働者派遣法の改正により、2004年から派遣社員は製造業現場でも働けるようになった。現場では、正社員、請負社員、派遣社員三者の使い分けが課題になっているし、貸し借り先の企業現場での指揮・命令の在り方とか、人間関係とか、すっげえ複雑になっていろいろ混乱してるそうだ。ポスト終身雇用型は、水面下では問題続出なのだろう。

近年流行りだした「個人請負」という形。個人が企業から業務を請け負ったり委託契約されたりする「個人事業主」になれる!という画期的システム。あなたもわたしも「個人事業主」♪。一見素敵そうけど、これがとんでもないんだってさ。「雇用」じゃないから、「労働者」として何の保護も受けられないことになるのだと。雇用保険も社会保険も何も無い。「雇用契約」じゃなくて「委託契約」故にだ。だけど、素敵なはずの「個人事業主」が、実際は別に専門仕事でもなく普通の末端労働をしてたりするんだって。職人とかじゃなくてまぎれもなく「労働者」やってたりするんだって。じゃあ「労働者」のはずだろが!要するに企業は本来すべき負担をもしたくないから、こんな卑劣なロジックまで生み出しやがったてこと。汚いな。 非正社員社会のシステムの隙間につけ込む企業によって労働問題は続出してる(例は書きたくもないほど酷いものばかりだ)けど、ほとんどの個人は泣き寝入りしてる。

法令遵守(コンプライアンス)なんて死語? それくらい企業は法律を守ってない。膨大な数の労働問題があり、これまでにそんなものはいくらでも見聞きしてきた。酷いものばかりだよ。 今回はその一般例として、企業の社会保険料逃れの手口を紹介しよう。

まずあるパート女性が、老後不安だから厚生年金に加入したいと考えたとする。その場合企業側は、加入すれすれの所で仕事時間を組み立てるのだ。第2号被保険者は、1日の所定労働時間が正社員の4分の3即ち週30時間以上勤務が条件なので、悪質事業主は週27、8時間に設定したりする。厚生年金への加入条件を満たす従業員がいるのに加入させてない事業所は、2004社保庁調査で2万7200に及ぶ。もちろん氷山の一角だ。こんな実態に憤ったら、社会保険事務所に訴え出ましょう(匿名OK)。
他にはこんなケース。 就労が2ヶ月以内の短期労働者は厚生年金適用が除外される。そこを狙ったもの。つまり2ヶ月以内で更新を繰り返して労働者を社会保険に加入させないのです。どこまで卑劣なのか。

大手の有名製造業の多くは請負労働者を活用してます。請負業界自体が、急成長な分だけ不透明な業界です。管理体制が未熟だったり、非上場企業も多い。傘下会社の名前を頻繁に変更するケースもある。そんな業界だ。法律遵守なんて初めから眼中にないのかも。

いろんな人が、企業社会の悪意の部分の前に、泣き寝入りしてる。
強くなりたい。もう自分が生き残るためだけじゃない。僕はいつもそうかもしれない。テリーマンと同じだ。この世に生をうけて、強者が嫌いだった。なめられるのが嫌いだった。弱い者いじめは殺してやりたくなる程嫌いだった。強者の正義や、「正常」な人の「正しい」判断や、世俗の「常識」や、安易なトレンドへの安息も、そしてやられっぱなしの弱者や烏合の衆も大嫌いだった。 僕がこの世でやっと見つけたものまで破壊されはしない。こんな腐った世界でも、誠実でささやかに生きてゆこうとする優しさが、踏みつけられてねじ曲がったり潰れちゃったりするのは、もう見たくないし、僕は時々キレそうになるんだ。
〔続く〕

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