人間が「コスト」になった90年代、企業は人を安く使うことの素晴らしさを知ってしまった。人的資源の「在庫調整」として、中高年のリストラ、新卒採用の抑制、退職者後の未補充などが至る所で激しく進行していった。そして多くのものが失われる中で新たに生まれたものこそが「非正社員」だった。彼らに、彼らが持っていた本来の臨時労働役割を超えさせることによって、日本の企業社会はいま醜悪に蘇ったのである。
雇用社会の本流は「新時代の『日本的経営』」に示された。結果、雇用労働者の3人に1人は非正社員になった。もはやライフスタイルの多様化が雇用の多様化を生むのではない。雇用破壊が生活破壊を生むのだ。 狂った市場に流通する狂った商品の価格破壊が、地獄の競争で血にまみれながら、結局は賃金破壊を起こし、雇用破壊へと繋がってゆく。その先にあるものは、恐らくは社会の破壊なのだ。

仕事にプライドを持てる社会。自活できるだけの賃金が保障される社会。努力が報われる社会。筆者が願うそんな社会。takebonoが願うそんな社会。当たり前の、普通の、多くの人が願う社会だろう。敢えて言おうじゃないか。多くの人にとって、「あるべき」社会じゃないのか、と。最低限「そうあってほしい」社会じゃないのか、と。こんな僕だって願うんだぜ。強く願う。優しい人や誠実な人がちゃんと生きていける社会のことをだよ。だけどまたしてもみんなはそんな社会を選べないのだろう。

破壊は創造を生む。そうやって市場経済は回ってゆく。だけど僕らの社会はもう、本当は破壊しちゃいけなかった所までも、既に破壊しちゃったんじゃないのか?ささやかな幸せって本当は存在したんじゃないのか?存在できたんじゃないのか?
破壊は何を生んだ?カネは何を生んだ? 格差と。バブルと狂熱と。ちっぽけな欲望と身勝手な夢たちと。ホリエモンと。大量の経済的精神的不安定と。卑屈な下流社会を生んだだけだろ。 橋本っ…橋本っ…頼むっ。生き返ってくれ。本当に破壊しなければならないものをお前のニールキックで破壊してくれっ。頼むっ。なあっ。頼むよ橋本っ。
カジノみたいな人生はお前らだけでやってくれ。本当に誠実な者や、優しい者や、努力した者が、なぜささやかに生きちゃいけないんだ? 市場論理は何でそんなに僕らを食らって楽しいんだ?
こんな市場社会で生きたくない。ずっとそう思ってた。
でもね。結局はそれすらソウルフルだったんだよね。
公務員で左翼寄りの両親の市場社会観が結構偏っているのにも、それも理解した上でそれでも僕は、そうなのだ。毅然として社会に出るべきなのだったと。社会をもっと感じるためにだ。あらゆるものが僕を形作った故にだ。
就活は遅すぎたけど、今後どんな形でもいい。社会に打って出たい。力をつけたい。力を。衝動がきそうなんだ。
そんなソウルがあれば充分だろうよと思うのだ。

いまこの国では、雇用が破壊されかけ、社会が破壊されかけてる。どんな社会問題を憂うにしても、この問題を避けて通ることは恐らく出来ないだろう。一番身近でありながら、一番僕らに知らされてこなかったものだからだ。多くの人が目を向けてほしい。人は何故人を傷つけなければならないのか。有意義な競争ではない、不毛な殺し合いが何故いつまでも続くのか。潰れてく人や排除されていく人がいるのか。そして無力な僕らに一体何が出来るのかということも。

僕はでも、破壊されているものを知ることで、守るべきものや、優しいものの存在を知ったような気もするのです。そう思考するように形成され生きてきた僕がここにいるということにもです。それはそう、そうなのです。もしあなたが絶望したとき、僕はここにいます。僕は、優しい人を守るためにいます。人に優しく在れる人を守るためにいます。絶対にね、だから、どうか、takebonoさんだけは信じてくれ。 ああ、やっぱ、僕は強くなろうかな。くそう。

―――
追伸
いま暖かな日差しの中でこれを書いています。どうか、実りある人生を。充実した日々を。お健やかにお過ごし下さい。もうすぐ春ですね。新しい時代をみんなが歩き出す頃、きっと僕も生き急ぎ始めていますよ。

親愛なるあなたへ…

−takebono−

〔終り〕

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