◇戸梶圭太を初めて読む。読んでみたいなと前から思ってた『自殺自由法』を読む。タイトルから推測するに、ともすればありがちな展開かなぁとか思ってたけど、淡々としたイカれたストーリーがシンプルに面白かった。自殺というのはそれこそ究極のニーズであり、その規制緩和がなされるとき、こんな社会になるのかなと思った。社会の合理的排除のさらなる効率的なシステム化というか、考えるところは大きいなと。まあネタ的にはすき。
−生死の選択は個人の自由である。画期的な法律が制定された。〈自殺自由法〉――〔日本国民は満15歳以上になれば何人も自由意志によって、国が定めたところの施設に於いて適切な方法により自殺することを許される…〕 法律が施行されてからというもの、毎日のように「自逝センター」に群れを成す人々の列は、この国初の自殺自由化政策がもたらす数々の人間ドラマの序章にすぎなかった。
「若者だから未来があるとでも言うんですか?…冗談じゃないですよ。…未来のある奴とない奴がいるだけでしょう。それだけですよ。…自逝というもう一つの選択肢ができたことを僕は喜ばしく思います。選択こそ人生ですからね。死を選択できないから生きているだけの人間ほど惨めな存在はありませんから」
「自治体が何も審査しないで右から左に流すみてえに自殺を処理してっから俺たちは金の貸し損なんだよ!」
「君はくだらない人間だ。どこまでも不毛で何一つ自分らしさというものがない。僕も人のことは言えないかもしれないけど、君を見ていると本当に気分が悪くなる。でも、死ぬ事を決意しただけでも君は偉い。…間違ってもやっぱり死にたくないなどと思い直したりしないでくれ。…いつか街でバッタリ会ってしまったら、そのときは僕が君を殺す。絶対に殺す。目障りだからだ。…生き延びていたら承知しないぞ。君のおかげで僕は目が覚めた。そういう意味では感謝する」
「あたしが今日死んじゃいけない理由があるんですか? あるとしたら何ですか? …死にたいんじゃないの。あたしが生きる理由と、この世に存在する価値が、ないってことが嫌なの。つい半年前まではあったのに、今はないの。待っていてももう二度と元には戻らないの。自分でわかるの。それが嫌なの。それで、生きるためにしたくもないことをすることもできないわけ」
『〈自殺がいけないなんて言ったの誰!?〉〈あなたにはあなたのライフデザイン♪ライフエンド♪〉〈自逝についてのお問い合わせは最寄りの自逝センターへ〉 政府公報』
自殺はトレンドになり切り札になりテロになりビジネスになり、救いや策略にもなり、合理的な「生」の一部にもなった。結局ニーズなのだ。ラストもそれなりによかったです。
作者の戸梶氏は、執筆後うつ病になったそうです、二日間だけ。
僕は読み終えてからバイトに行きました。生きる気満々。
−生死の選択は個人の自由である。画期的な法律が制定された。〈自殺自由法〉――〔日本国民は満15歳以上になれば何人も自由意志によって、国が定めたところの施設に於いて適切な方法により自殺することを許される…〕 法律が施行されてからというもの、毎日のように「自逝センター」に群れを成す人々の列は、この国初の自殺自由化政策がもたらす数々の人間ドラマの序章にすぎなかった。
「若者だから未来があるとでも言うんですか?…冗談じゃないですよ。…未来のある奴とない奴がいるだけでしょう。それだけですよ。…自逝というもう一つの選択肢ができたことを僕は喜ばしく思います。選択こそ人生ですからね。死を選択できないから生きているだけの人間ほど惨めな存在はありませんから」
「自治体が何も審査しないで右から左に流すみてえに自殺を処理してっから俺たちは金の貸し損なんだよ!」
「君はくだらない人間だ。どこまでも不毛で何一つ自分らしさというものがない。僕も人のことは言えないかもしれないけど、君を見ていると本当に気分が悪くなる。でも、死ぬ事を決意しただけでも君は偉い。…間違ってもやっぱり死にたくないなどと思い直したりしないでくれ。…いつか街でバッタリ会ってしまったら、そのときは僕が君を殺す。絶対に殺す。目障りだからだ。…生き延びていたら承知しないぞ。君のおかげで僕は目が覚めた。そういう意味では感謝する」
「あたしが今日死んじゃいけない理由があるんですか? あるとしたら何ですか? …死にたいんじゃないの。あたしが生きる理由と、この世に存在する価値が、ないってことが嫌なの。つい半年前まではあったのに、今はないの。待っていてももう二度と元には戻らないの。自分でわかるの。それが嫌なの。それで、生きるためにしたくもないことをすることもできないわけ」
『〈自殺がいけないなんて言ったの誰!?〉〈あなたにはあなたのライフデザイン♪ライフエンド♪〉〈自逝についてのお問い合わせは最寄りの自逝センターへ〉 政府公報』
自殺はトレンドになり切り札になりテロになりビジネスになり、救いや策略にもなり、合理的な「生」の一部にもなった。結局ニーズなのだ。ラストもそれなりによかったです。
作者の戸梶氏は、執筆後うつ病になったそうです、二日間だけ。
僕は読み終えてからバイトに行きました。生きる気満々。
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