◇友達に借りた村上龍『海の向こうで戦争が始まる』を読む。前作を引っ張った感じで。自意識と現実性の話だとかなんだね、よくわからなかった。イカれてた。
−僕の目の中に映る稜線の町をフィニーが覗き込む。戦争はそこから始まる。 …ゴミの山、ゴミ処理施設、宮殿、灰色の港、魚、サーカス、病院、蠢く人々。そして戦争は始まる。
「戦争は恐ろしい、みんながそう思っている、それは正しい、いつだって戦争は恐怖だ、私も恐い、小便を漏らしそうになる、しかし、考えてみろ、恐怖の裏側にはいつも何があった? 恐怖の向こうにあるものは何だ? それは熱狂と興奮と恍惚だ、戦争は退屈しない、今日一日何をしようかなどと考える必要はない」

◇定期的に読む村上春樹は今回は短編集の『回転木馬のデッドヒート』を読みました。『嘔吐1979』とかよかった。嘔吐って行為はフレーズ共に興味深かった。

◇山田悠介『親指さがし』を読む。文字表現としての魅力はほぼ無い。さすが酷評オーライの山田作品。だがこれもまたネタ的にはすき。ライトホラー。
−とある別荘で起きたバラバラ殺人事件。警察によってかき集められた死体には、左手の親指だけがどこを探しても見つからなかった。そこから発展した怪談話にとびついた都内に住む5人の小学生たちは、見つからなかった親指を探すため、「親指さがし」という儀式を決行する。そして、儀式の最中に1人の女の子が行方不明になった。その部屋で親指を探すとき、肩を2回叩かれたら決して振り向いてはいけなかったのに…。

◇角田光代の『対岸の彼女』を読みました。すんごいよかった。おすすめ。ソウルフル。アオちんとナナコの輝き方に泣きそうになりました。読み終わった後、抱きしめたくなる本でした。
−放課後いつものように川辺でげらげら笑い合った後で、葵とナナコは空を見て寝転がった。ねえアオちん、てナナコは葵をそう呼ぶ。 無視もいじめも独りぼっちもぜんぜんこわくないんだ、とナナコは言ったっけ。きらきら光る川を見ながら言った。そんなところにあたしの大切なものはないし、ってナナコは言った。 ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、いまになってするんだよね、と葵は小夜子に言った。 あのときの川はまだ輝いている。おいでよ、って誰かが向こう岸で言っている。歳を重ねることも、大人になることも、お互いが出会えたことも、約束したことも、輝きながら過ぎた日々でさえ、どこかへいこうとしたあの日でさえ、あたしたちは抱きしめながらきっと生きていて、抱きしめながらどこかへ生きていくんだろうって。
こんな作品をこんな気持ちで読めてることが幸せだと思った。takebonoが久々に感動した角田光代の直木賞作品でした。

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