takebonoは外国文学もときどき読むのです。

◇ヘミングウェイ『老人と海』を読みました。まだ読んだことなかったんよ。
−長期不漁が続くキューバの海。港の老漁夫サンチャゴは、ある朝たった一人で小舟に乗り込み沖を目指して出漁した。彼の一縷の望みが食らいつかせた巨大なカジキマグロとの死闘は、大自然と人間の荘厳な姿を見せつける。老漁夫の勇敢な闘いは、自然と人間に何をもたらすのだろうか。
ヘミングウェイは、純粋な客観性による徹底した外面描写によって、叙事詩のような自然と人間の物語を描ききった。海の壮大さと自然の脅威。老漁夫の純粋なる勇気。生きるということはきっとこういうことなのかもしれないな。海に漂う一艘の小舟の上で進行するストーリーはしかしむしろスケールの大きさを感じさせた。
「けれど、人間は負けるように造られてはいないんだ。…そりゃ、人間は殺されるかもしれない、けれど負けはしないんだぞ。…さあきやがれ、ガラノー!」

◇カフカ『変身』を読む。言わずとしれた20世紀実存主義文学の先駆け作品。
−平凡な多忙セールスマンに過ぎなかったグレゴール・ザムザが、ある朝自室のベッドで目覚めたとき、彼は自分が巨大な毒虫に変身していることに気がついた。一体なぜこんなことに――?? もじゃもじゃの足と重い甲殻の体を引きずりながら、声にならぬ声を発しながら、ザムザは困惑する。家族がドアを叩く音に脅え、仕事に使う汽車の出発時刻に脅え、上司の叱責と家族の暮しを心配するザムザ。ある日いきなり「変身」してしまった彼の運命やいかに? 
現代資本主義世界に「所属」することとしての人間存在が、ある日の「変身」によって無惨にも全てから関係を分断されてゆく。自己疎外の矛盾そしてその残酷にも孤独な姿を、異様な物語設定においてよりリアリズムを超えたリアルを携えながら、もはや悲哀すら漂わせつつどこかユーモラスにも描ききるカフカの傑作文学。
『断食芸人』も読んだ。超短編だが、『変身』同様に自己疎外を描いた見事な作品でした。

☆GWも終わりました。大相撲5月場所が始まりました。皆さんそして力士たち、明日からまたがんばりましょうっ。

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