◇重松清の『流星ワゴン』読む。巷では「泣ける作品」で有名らしい。読み終わって、ちっとも泣けやしなかったけど、いい話だとは思った。そしてそれはきっと僕がまだ若いからだろうとも思った。
−幸せな家庭のはずだった。一体いつからこうなってしまったのだろう。息子がひきこもりになり暴力を振るうようになった。妻は浮気を繰り返しほとんど家に帰ってこなくなった。父親は末期ガンに侵された闘病生活を続けていたが、最近では段々と意識が飛び始めた。そして僕は会社をリストラされた。その日、僕は「死んだっていいかな」とふと思った。どうしようもない、最低最悪の、現実を前にして――。 …もし、あなたがあの日の僕のように、今夜死んでしまいたいと思ったとき、あなたの住む街の終電後の駅前にたたずんでみてはくれないか。あの素晴らしい親子を乗せたオデッセイが、ゆっくりとあなたの前で停まるだろう。流星のようなドライヴに、あなたを招待するためにだ。
現代の「家族」を問う、重松氏渾身の作品。「家族」ってなんだ? 幸せって、なんだ? そんなことを考えるときにぜひ読んでほしいと願われている本だろな。きっと涙するのではないか。家庭を持たない僕でもそう思ったよ。
「それでも――信じる。僕は、僕の息子が信じる未来を、信じる。息子が未来を信じていることを、信じる。 …やっとわかった。信じることや夢見ることは、未来を持っている人だけの特権だった。信じていたものに裏切られたり、夢が破れたりすることすら、未来を断ち切られた人から見れば、それは間違いなく幸福なのだった。 …なくしたはずの未来を取り戻せばいい。たとえどんな未来であろうと――」
◇川島誠の『ロッカーズ』読む。とあるスーパーロックバンドの自伝風小説。もちろんフィクションなのだけど、ある伝説バンドの誕生から崩壊までの栄光の軌跡を描いたストーリーに多少魅せられた。
−ヴァイオリンを愛せなかった当時14歳の僕は、雨上がりの街でセージと出会った。それが「NEXUS」の始まり――。 破壊的なカリスマヴォーカルと、神秘的なリードギター、彼らが重ねる旋律が、ロックという聖域の中で神話を創り始めるとき、日本中を席巻した伝説のロックバンド「NEXSUS」が始動する。その栄光と狂気の歴史がいま明らかにされる――。
「僕の耳に飛び込んできたのは、人間の声だったのだ。…それは、今まで僕が聞いたり演奏したりした、どんな音楽にも似ていなかった。…君にならわかると思う。荒々しい、剥き出しの音。単調なリズム。コードの数も少なかった。というより、音そのものの数が少ない。シンプルというか、むしろプリミティヴというべきかもしれないサウンド。そして、彼の、うめくような叫び声。それらは、圧倒的な力で、僕に迫ってきた」
「そうだ。何が正常で何が異常かみたいな、くだらないスタンダードを破壊するために、ロック・ミュージックが存在するのだ。そして、僕たち『NEXUS』も」
−幸せな家庭のはずだった。一体いつからこうなってしまったのだろう。息子がひきこもりになり暴力を振るうようになった。妻は浮気を繰り返しほとんど家に帰ってこなくなった。父親は末期ガンに侵された闘病生活を続けていたが、最近では段々と意識が飛び始めた。そして僕は会社をリストラされた。その日、僕は「死んだっていいかな」とふと思った。どうしようもない、最低最悪の、現実を前にして――。 …もし、あなたがあの日の僕のように、今夜死んでしまいたいと思ったとき、あなたの住む街の終電後の駅前にたたずんでみてはくれないか。あの素晴らしい親子を乗せたオデッセイが、ゆっくりとあなたの前で停まるだろう。流星のようなドライヴに、あなたを招待するためにだ。
現代の「家族」を問う、重松氏渾身の作品。「家族」ってなんだ? 幸せって、なんだ? そんなことを考えるときにぜひ読んでほしいと願われている本だろな。きっと涙するのではないか。家庭を持たない僕でもそう思ったよ。
「それでも――信じる。僕は、僕の息子が信じる未来を、信じる。息子が未来を信じていることを、信じる。 …やっとわかった。信じることや夢見ることは、未来を持っている人だけの特権だった。信じていたものに裏切られたり、夢が破れたりすることすら、未来を断ち切られた人から見れば、それは間違いなく幸福なのだった。 …なくしたはずの未来を取り戻せばいい。たとえどんな未来であろうと――」
◇川島誠の『ロッカーズ』読む。とあるスーパーロックバンドの自伝風小説。もちろんフィクションなのだけど、ある伝説バンドの誕生から崩壊までの栄光の軌跡を描いたストーリーに多少魅せられた。
−ヴァイオリンを愛せなかった当時14歳の僕は、雨上がりの街でセージと出会った。それが「NEXUS」の始まり――。 破壊的なカリスマヴォーカルと、神秘的なリードギター、彼らが重ねる旋律が、ロックという聖域の中で神話を創り始めるとき、日本中を席巻した伝説のロックバンド「NEXSUS」が始動する。その栄光と狂気の歴史がいま明らかにされる――。
「僕の耳に飛び込んできたのは、人間の声だったのだ。…それは、今まで僕が聞いたり演奏したりした、どんな音楽にも似ていなかった。…君にならわかると思う。荒々しい、剥き出しの音。単調なリズム。コードの数も少なかった。というより、音そのものの数が少ない。シンプルというか、むしろプリミティヴというべきかもしれないサウンド。そして、彼の、うめくような叫び声。それらは、圧倒的な力で、僕に迫ってきた」
「そうだ。何が正常で何が異常かみたいな、くだらないスタンダードを破壊するために、ロック・ミュージックが存在するのだ。そして、僕たち『NEXUS』も」
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