早朝の6時頃。海の向こうで締め括られた夢。
ベルリンの夜空に絶え間なく降り注ぐ紙吹雪。
カルチョの夢が光り輝いた瞬間。
僕はワンダモーニングショットを飲みながら。
2006のファイナルを制したイタリア・アズーリに拍手を送った。
カンナバーロが天高く掲げたジュール・リメ杯。
サッカーを愛する者なら誰もが一度はそれを夢見たことがある。
ワールドカップ。

ドイツvsコスタリカで始まったあの開幕戦から。あのラームの美しすぎるシュートから。時間と体力が許す限り、観れる試合は全て観ることができた。幸福だった。
世界中の大陸の、あらゆるサッカーどうしが凌ぎを削る。
ワールドカップ。
時差はきつかった。僕の体調は日増しに悪くなっていった。

砕け散ったジャパンドリーム。
若き日のベッカムと重なったルーニー。
カーンとレーマンの絵なんてもう言葉じゃない。
カンビアッソや、テュラムや、中田の、涙。
その他にも、いろんな、いろんなシーンが焼き付いてる。

どんなシュートがどんなふうに唸りをあげても。
ボールの回転で芝がえぐれても。
ポストに当たる音や。
選手の叫びや。
1?でも長く伸ばそうとした足や。
誰よりも高く飛ぼうとした身体。
何よりも観客の、あのサッカーを愛する者たち全ての、世の中が終わるほどの、あの歓声を。
そして、ジダンや中田のサッカーを、もう二度と見ることはないなんてことにも。
まさしくそれは夢だったのでした。
ワールドカップは。

みんなみんな夢のようだった。
それが夢だったように。あれが夢だったように。
こんなふうに夢は。
夢で在り続けるのだ。

ヘーウチ先生が書いてたね。
こんなふうに、一つの白黒のボールの行方を、世界中の人々が、それに歓喜し、激昂し、笑ったり、泣いたりすることって、もう、夢のように、もう二度と無いんだよね、と。
それは。
夢だったからなんだよね。

夢が終わり。目覚めながら。僕の体調は日常のリズムと共に。だんだんと元に戻るだろう。過去の一部として。

ある日、よく晴れた日の空を見上げ。
ああ夢だったんだなあなんて思いながら。
僕はサッカーボールを片手に家を飛び出すはずだ。
やっぱりサッカーをするために。
素晴らしい仲間たちと。
輝く日差しの中で。
サッカーボールを蹴るために。
生きる不安なんて、振り払いながら。
生きる喜びを、無限に感じるんだ。

4年に一度、人々が見る夢。
世界はそれをワールドカップと呼ぶ。

さよならだよ。ドイツ。ありがとう。ワールドカップ。
南アフリカでまた会おうね。

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