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◇第一回「このミス」の大賞作、朝倉卓弥の『四日間の奇跡』を読み終えた。とてもよかった。まばゆいほどの輝きを放つ「描写」力。圧倒的な筆力。すばらしかった。
−かつてピアニストへの道を歩みながらその道を絶たれた如月敬輔。彼が夢と引き替えに救った少女・楠本千織は、脳に障害を負い言葉を失っていた。その後とあるきっかけからピアノ演奏の旅を続けることになった二人は、ある日訪れた山奥の診療所施設で働く一人の女性と出会った。そして、悲劇が起き、そして奇跡は起きた。
「神というものがいるのかどうかは知らん。だが時として俺自身、自分の肉体が命というものを維持しているということが、どれほど奇跡的なことかを思い知る時がある。意志とは無関係に体内で生成される様々な酵素。その一つでも狂ってしまえば人間というのは簡単に死ぬんだ。外傷など無くてもだ。我々はやはり、生かされているのだと感じるよ。だがその一方で、生きているのは俺自身だという意識も、俺は強固に持っている。俺はその俺を裏切らぬよう、俺自身に誇れるように生きていくだけだ」

そうだ。我々は生かされている。だが生きているのは僕自身なのだ。

「それはでも、幸せなことだったのよ。…ねえ、あたし今、千織ちゃんにとても感謝してる。この時間をあたしにくれた何かに、とても感謝しているの。…だっておかげで、――そう、確かめられたもの。あたしの願いはみんな叶ってたんだって、確かめられたもの。ただ自分で気付いていなかっただけ。知らなかった、見ようとしなかっただけだったの。かつて手にしていたものにこだわって今の自分を受け止めていなかったのは、それは貴方でも患者さんたちでもなくて、あたしだったのよ」

真理子がかわいそすぎて。かわいそーすぎて。takebono泣けてくる。こんな奇跡、あったっていいと思う。それだけで充分だ。
ありふれたようで輝きを放つ、この奇跡のストーリーにはきっと、それこそ「心」というものをうたれた思いだ。

今日の栃東
○ 垣添 (押し出し)4勝

栃東今場所はいける!
朝青龍のヤロー右腕全開じゃねーか!
千代大海マジで守護霊が憑いたか!
やべ、名古屋場所ドキドキする。

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