ノベルを述べる72

2006年10月11日 読書
◇森博嗣の『スカイ・クロラ』。ふぅん、見事です。静寂の切れ味。

−戦闘機乗りは空を飛ぶ。この右手で人を殺すために僕は空を飛ぶ。
僕はまだ子供だから、殺し合う相手を知らない。
僕たちは子供だから、殺し合うために用意されたゴミ山のような理由たちを知らない。
僕の乗る機体の旋回や。
右手トリガーの照準や。
360度の成層圏は。
僕らが永遠を生きるための世界だ。
自分は何者なのか。それは誰も知らなくていい神話。
無限の戦場を永遠に生きる子供(キルドレ)たちの物語。

 戦争を知らない大人たちに捧げよう。
 彼らの過ちは、三つある。
 子供たちが自分たちから生まれたと信じている。
 子供たちより多くを知っていると思い込んでいる。
 子供たちがいずれ自分たちと同じものになると願っている。
 それら妄想の馬鹿馬鹿しさといったら、
 戦争よりも悲惨なのだから。


読み終えて、僕は窓を開け空を見上げた。
どこまでも広いね空は。
いまは僕の戦場は、この空の真下だ。

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