くじら

2007年5月15日 読書
川端裕人『クジラを捕って、考えた』

商業捕鯨再開論者でも反対論者でもない筆者が、クジラが見たい一心で調査捕鯨船に乗り込んで半年間の航海に旅立ちその体験記録を残した一冊。
捕鯨にまつわる様々な問題を一つずつ生身のルポで確かめてゆく様子は素敵。
漁師にも科学者にもグリンピースにも日本にもアメリカにもヨーロッパにもそれぞれの考え方と主張があり、当然誰一人クジラの絶滅を願っている者はいない。

捕鯨に限らずそうかも。多くの問題は、様々な立場というやつが、それぞれよりよい未来を選択しようとして衝突しているということでもある。もちろん決定を下すときには選択に責任を持つんだけど、自身何かに対し明確な方向性を持ってるわけじゃないし。だから衝突を不毛だと思うのも恐いなと。 物事って、分かり切られていないから、どっかでバランスして、それなりの均衡になってんだなって。
ぶつかりもしないで、葛藤もしないで、方向性に確信を持ってるのは恐い。
真摯な受け止め方として、揺れていることだってある。
都合良く見えてるものを、疑い続けたい。
わからないから、考え続けるのだと。
ぶつかる場のようなもの、さらにそこへのクッションのようなもの、有意義なものを保障するような試みをしたいな。
そんなこと思った。

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