◇森絵都『風に舞いあがるビニールシート』

直木賞のやつ。本自体は6つの短編集。
森絵都の書く力強く優しい文章が、心にしみますた。

「風に舞いあがるビニールシートがあとを絶たないんだ」
上司で元夫のエドがアフガンで死んだ。
国連の難民事業に携わる里佳は、エドとの日々を回顧する。
ぎこちなく、ささやかに、大切なもののために懸命に生きてみる。生きていれば大変なことや辛いこと、いろんなことが起きるけど、大切な何かのためにできることをやることが、幸せの在処になってゆく。

「暴力的な風が吹いたとき、真っ先に飛ばされるのは弱い立場の人たちだ。老人や女性や子供、それに生まれて間もない赤ん坊たちだ。 …だから僕は思うんだよ、自分の子供を育てる時間や労力があるのなら、すでに生まれた彼らのためにそれを捧げるべきだって。それが、富める者ばかりがますます富んでいくこの世界のシステムに荷担している僕らの責任だって。

僕たちは、悲しみなんてそう簡単に受けいれるべきじゃない


普通によかった。

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