終点まであと2つの停留所というところでヨロヨロと乗車してきたおじいさんとおばあさん老夫婦。
シルバーパスを提示してよっこらしょっと乗り込むおじいさん。
当然おばあさんもパス持ってるはずなのに、なかなか出せなくて、結局乗車口で突っ立ったままゴソゴソとカバンを探し出してしまった。
その間バスが発車できず、イラだった運転手の冷たい声が響く。
「どこまでなんですか?」
終点までに決まってんだろ。しかもパスを探してるの一目見ればわかるやん。
しかしビクッとしたおばあさんは、早くパス探して提示すればいいのに、答えてしまった。
「…あ…あ…あのぅ…○○駅までなんですが…」

んなコトわかってるよ終点まであと2つなんだから、とtakebonoが思った瞬間、
「210円です」
運転手の冷たすぎる声が響く。
「…あ…ぁー…そうですか…ハイ…」

…バカな!?と思った。
おばあさんはパスではなく財布を出して金を払おうとしちゃってたからだ。な、なんで…!?
明らかにパスを持っているのに。カバンからそれを出すだけなのに! 運転手の心ない圧力が…。えーえーおいおいどうしようどうしようと思って僕は本当にドキドキしてしまった。

次の瞬間に、おいなにやってんだ、とおじいさんにうながされてやっとおばあさんはパスを出すことができて、やっとバスは発車したのだけど。僕はそんとき固まってたんだ。

すッげェェー、イラッとしたのかもしんないし憤ったのかもしんないんだけど、なんか、なんかグワララときたんだよね怒りが。

冷たい運転手にも。
弱すぎるおばあさんにも。
なによりも、
弱い人を守りきることができない、僕を含めたこの社会にかもね。
そんなふうに偽善者風吹かしながら結局なにもできず座席で固まってた自分にかもね。
それを最悪にも都合良くこんあふうにブログネタなんかにしてしまうこの僕にもだろうねー。

終点について、乗客みんなゾロゾロ降りてく中で、やっぱりおばあさんはヨロヨロと最高に危なっかしく降りるのは一番最後で。このあばあさんはこれまでにもさっきのようなかんじで、お金を失ってるのかもなと思った。
こうなったらトカトントン偽善者ぶってやれと開き直った僕は、最低にもおばあさんに声をかけながら降車口で手をひいてあげたのでした。
とんでもねー話だなと悪態をつきながらも僕は、財布が入ったおばあさんの無防備なカバンを見つめながら、やっとこさバスを降りることができたかすれた声でおばあさんが「ありがとう」と呟いたのを認識すると、
ああブログネタになるわなんて最低に醜悪なことを考えて、
後期高齢者医療制度のことなんかを考えて、
炎上した大竹の気持ちを考えて、
今日の夕御飯のことを考えたら、
なぜだか唐突にある人の顔を思い出して、
死ね、いますぐ死ね、と思ったのでした。

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