5時45分に目が覚めた。5時半にセットしてたケータイのアラームは全く聞こえなかったのに、僕は奇跡的に起きれたのだ。留守電が入ってた。H先生だった。「ロビーで待ってる」急いで支度をした。昨夜の狂乱が嘘のように、松本の朝は静まり返っていた。皆を起こさないように僕は静かに部屋を出た。ロビーのソファーに眠たそうなH先生が座っていた。「んじゃ、いくか」H先生は、冷たい缶のお茶を僕に手渡すと、眠たそうに旅館の玄関を開けた。爽やかな日差しと人気の無い道路は、合宿最後の朝の到来を表していた。だけど僕にはまだ合宿が残っている。これから軽井沢で学部のゼミ合宿だ。卒論の中間発表会が待っている。9時までに最後の合宿地軽井沢に辿り着くために、H先生の運転する車は僕を乗せて松本駅に向かう。「(この合宿に)きてよかっただろ」H先生が遠い目で呟く。軽井沢合宿とかぶるために、一度は諦めかけたこの松本合宿は、僕のソウルとそれに呼応した(?)メンバーなくしてはありえなかった。本当にきてよかったと思った。そして、自らが選択した強行日程こそが、自らのモチベーションを押し上げたのかもしれなかったとも思う。やっぱり、できることなら、できるだけ、takebonoはtakebonoでなければならないんだな。楽しかった。
松本駅でH先生と別れた。感謝。そして篠ノ井線始発に乗り込んだ。昨日の狂乱宴の酒がまだガンガンに残ってて、すぐ寝た。寝とかなきゃまずい。3時間後にはゼミが始まる。部屋のハンガーに上着のシャツを忘れてきたことや、ビンゴ大会の景品を忘れてきたことも思い出したけど、そこで意識は途絶えた。
気づくと篠ノ井駅だった。やばっ…乗り換えなきゃ、と思った瞬間ドアが閉まった。降り遅れたー!久しぶりに寒気が走った。まずい…まずい…まずい…。せっかく奇跡的に起きれたのに…、せっかくH先生が始発に間に合わせてくれたのに…、軽井沢でTHと待ち合わせしてるのに…、僕はこんなしょぼいミスで全てぶち壊すのか。とにかく次の駅今井で降りたけど、焦ってた。こんな地方線で一本逃したってことは、完全に遅刻を意味したからだ。とにかく次の電車早く、って思ってたら、次の電車はそのまましなの鉄道に繋がってた。つまり篠ノ井で乗り換えるはずの電車はこれだったのだ。助かったー。僕は安心からまたそのまま寝た。
気づくともう目的地に着きそうだった。頭はまだクラクラしていた。宿のおばさんが握ってくれたおにぎりをかじる。美味しかったけどあまり胃に入っていかなかった。でも食べなきゃ。こんな僕のためにせっかく作ってくれたんだもんな。そして、いま食っとかなきゃ絶対にもたない。僕は必死こいておにぎりを口に詰め込んだ。今日で終わりだ。最後にもうひと頑張りだ。
中軽井沢にTHが車で迎えに来てくれていた。合宿地のホテルに向かう。豪華なホテルだった。着いた早々、ゼミが始まった。
僕の発表は出来が悪かったが、まずまず健闘した。皆に意見を求めて、あーだこーだ言われてもどうにもしっくりこない。結局、読んだ本だとか、問題関心だとか、それぞれ違うのだから、最終的な論立ての部分では、こんな風に議論してもしょうがないっつうか、適切な意見なんて誰も言えやしないように思えた。発表会の意義自体否定したくなったけど、先生のコメントが一番適切だった。それだけでもうよかった。
他の人の発表を聞いてる時間は苦痛だった。とにかく頭がクラクラするし、眠いし、死にそうだった。一日に全員やるなんて無理がある。集中力が続かない。これがSゼミとかだったらまた違うんだろうなあ。僕は今あまりボランティア主体だとか地域通貨だとかに興味が無いんだな。
昼御飯のとき、4年の連中と群れずに、3年生が多くいる席に座った。合宿だっつうのにいつものメンバーで群れてどーすんだ。3年と話したかった。3年にも面白そうな奴はいたけど、ソウルは揺れなかった。気は合いそうだけど。しかし3年生は明るいな。
夜までゼミが続き、やっと地獄から解放されて、部屋でぶっ倒れた。夕飯も、ゼミの連中とホント話すこと無い。つまんなかった。全く合わないんだな。やはり僕がクズだからだろうか。その後また部屋でぶっ倒れた。相部屋のYSは1年のときから知ってるけど、あまりすきじゃなかった。脳死なんだもん。そんなYSが唐突に政治の話を始めた。選挙行ったことないけどこれからは関心もとうかなって。各政党とりわけ共産党についてYSが語りだしたのには驚いた。ソウルは揺れなかったけど、YSを少々見直した。
夜は別館で飲み会で、あまり面白くない時間が延々と流れた。何話してもつまんなかった。疲れでイラついてたのかもしんない。先日までの松本合宿は、やはり多様な学部学科の集まりだったから面白かったんだな。何かこのSGゼミはノリが一定で、どうにも僕の入り込む隙間がなかった。そうなんだな、僕は隙間こそに居場所を見つけるクズだからだな。ハッキリそれがわかった。
先生がTA君に説教してた。卒業後どうすんのよって。耳が痛かった。人事じゃねえや。でも、何が正しいのかもわかんねえ。もし僕がクズでなければ、先生の言うことは正しいのだろう。頑張れるのかもしんない。でも、僕は人が思うような幸福が、どうしても心地よいものに思えなくて、そんな脳味噌にいつからかなっちまったようで。もし僕が正常だったら、結構いろんなもんが楽しかったはずだろって。みんなは、楽しいのかなあ生きてて。僕は結構いま生きてて楽しいのにな、それが否定されてるようで。そう思うと正常とか異常とかって、バカみたいで、そんなもんに何の拠り所も無くて、僕は僕のまま、困窮したっていいんじゃないかって。家族もそれを望むと思うんだよな。だけど僕は、そんな中でも、まだまだ僕の知らないことなんか無限にあるんだし、生きるのも悪くないって思えるし、やっぱ思うように生きたいな。とりわけ今がすきだ。僕一人なら生きるのが恐かったりして、でも僕一人だから生きるのが恐くなかったりして。まだまだtakebonoは死ねないんだって思うのです。
軽井沢の夜に雨が降り、takebonoの長野合宿旅行は静かに終わってゆこうとしています。大学入学前に夢見たゼミ合宿というトレンド。今やもうそれは僕の中で一飲みに出来るくらいのもので終わりました。二度と無いし、二度と無くていいし、それでよかったのだと思います。合宿無事終了。

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