「下流社会」が何やら注目されているね。ベストセラーなんだって。知らなかった。世間での捉えられ方は必ずしもマイナスというわけでもなく、『SPA!』11月29日号特集「楽しい『下流社会』の歩き方」(「地球の歩き方」みたいじゃね?)では、「中流にしがみつくことなく、何かを捨てることで楽しい下流ライフを謳歌する人々急増中!」として下流人を取材し紹介。例えば、もともとは短期滞在の外国人旅行者用だった一軒家をシェアするゲストハウスに「満員電車に詰め込まれた中流社会に嫌気がさした人」が転がり込むようになって、今や利用者の7割近くは日本人なんだと。世も末だね。

今日は階層意識調査の統計から。世代別で見ると階層意識は年を追うごとに「中」が減少し「下」が増加してきてるなあという印象を受ける。とりわけ団塊ジュニア世代といわれる層は、階層意識をガンガンに下落させている。団塊ジュニア世代は丁度うちの兄の世代で、まあ僕らも含んでいくのだけど、兄貴に階層意識を尋ねたらやっぱり「下だよ下、ゲゲゲ」とか言いそうだ。厳密に言うと兄の世代は真性団塊ジュニア世代(厚生労働省「人口動態統計」より。団塊世代が実際に産んだ子供の比率が最も多い世代。団塊ジュニアが大体70〜75年生まれに対し、真性は大体73〜80年生まれとされている)とも呼ばれ、学生から社会人への移行期に大きな景気後退に遭遇した世代であり、落ち方が顕著だとも言われている。 こうして見てみると団塊世代や新人類世代はやはり上昇意識があってしかも安定した「中流」だったんだなあと思うし、団塊ジュニアの僕らはその恩恵を多少なりとも受けてきたんだなあとも思う。豊かさを既に知り、不安定社会の到来も知った今の僕らが、将来の消費生活の向上なんて確信できるわけがないのだ。そこで「希望格差」ってやつも生まれているんじゃないか。

団塊ジュニア男性の80%が「今の日本の社会は所得格差が広がっている」と感じている一方で、60%が「成果主義・能力主義」には賛成。しかも「下」ほど多い。「年功序列・終身雇用」支持は15%。特に「下」でやはり少ない。「下」には終身雇用の恩恵を受けていないフリーターや契約社員が多いせいだろう。救えねえなあ。
他方、団塊ジュニア女性の75%が「今の日本の社会は所得格差が広がっている」と感じており「下」ではなんと95%。女性の方が就労の関係などでやはり深刻なのかもしれん。64%が「成果主義・能力主義」には賛成。でも男と違って「上」の方が多い。キャリアウーマンはやはり男性に対抗意識があるのだろう。「年功序列・終身雇用」支持は僅か6%。「上」ではゼロ。女性は年功序列・終身雇用の恩恵に溶していないので全く評価してないのだ。特に「上」の女性にとっては雇用システムは憎むべき男性社会の壁だもんね。主婦だって、高所得の旦那なら成果主義の方が有利と見てるのかもしれない。

以上のように団塊ジュニア世代においては、正規職員を中心とする「上」では…無能な上司や男性社会の壁を破るために、非正規職員を多く含む「下」では…正規職員への嫉妬から、「成果主義・能力主義」が支持されているといえる。面白いな。

「成果主義の中で勝ち続ける者とそうでない者の差は大きく開く。もちろんフリーターとの差はますます拡大する。とすれば、その格差の拡大=下流化をどこまで冷静に受け止められるのかが大きな問題になるだろう。子供がいて住宅ローンもあるのに成果が出せないで給料が下がる人はどうするのかという問題も拡大するだろう。そうなれば、未婚化、少子化はますます進むであろう。結婚して、子供を産んで、平凡に暮らす、そうした普通の「中流」の生活が、どんどん難しくなっていくことは、どうやら間違いない」(『下流社会』p114)

団塊ジュニア世代の僕らは、既に切られたゴールテープを前にして、今何に向かって走ればいいのだろ。走り続けてきた団塊世代がリタイヤ後に自己を喪失するように、僕らも少し戸惑ってやしないかい。トラッキングにしたってレーン自体がないような気がして、走る前から戸惑っている。ニートを笑えない。核戦争が終わるまでは地球は回ってるような気はするけど、僕らのスタートラインが既に失われていて、やはりこのトラックでは未来に期待できないだけに走り甲斐がなく、走る動機付けも生まれてこないんだ。やっぱり「下流」に落ち着いていくんかなあ。
“つづく”

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