ブルーダークの少年の記憶【Ⅵ】-1
2006年1月19日 エッセイ忘れられない夜ってあるだろうか?陽が落ちた闇の中で、自分の心臓の鼓動を許してくれている他者の優しい存在に気付いたことはあるだろうか?
今回は、永久凍土のようだったtakebonoのソウルを、初めてほんの少しだけ溶け落ちるくらいに暖めてくれたある冬の夜の話だよ。
◆
高校に入ってからよく摂取するようになったアルコール類は、虚ろなtakebonoをハイにさせた。悪名高きYNさんや破滅士USとよく飲んだっけ。飲みまくって公園で花火をしたりね。あんときは通報されそうになったね。迷惑行為だからやめようね。YNさんとは土手で昼間から飲んだこともあったね。あんときは吐いたね。夜中に酔って川に落ちそうになったこともあったね。あんときも大量に花火したりね。ホントにクズ高校生は夜と野外と火と爆音がすきみたいなんだ。嘔吐物みたいな会話しかしなかったし、誰がいなくなっても全然構わなかったし、そのくせ不幸をネタにしたり、セーフティーをキープしてたり、どーでもいい醜悪なトレンドに一喜一憂したりしてたんだ。世の中のほとんどのことは僕らにとって「関係無い」ものだったし、誰にとってもごくありふれた「つまらない」日常だったくせに、そうだ、とりわけ楽しくもないのに死にたくもなく、そんなことくらいしか僕らはやることがなかったんだ。こんな日々が後に「思い出」だとか「青春だったね」とか、ホントやめてくれって。記憶がなくていい。過去がそんな風にカテゴライズされたとして、やっぱり悪酔いと同じような吐き気がするんだろうなって。
そんな酒の飲み方しか知らなかったtakebonoさんが初めて大勢での飲み会に行ったのは高2の時でした。クラスで飲み会やるっていうから行ったのです。なんでかっていうと、場所がなぜか最寄りのS駅だったから。ま、近いしいくか、ってノリで。誰が見つけたのか知らんがS駅のあのゴミ溜めみたいな裏路地の居酒屋の二階。角のスペースが貸しきりだったっけ。初めて居酒屋での同年代の奴らの喧騒や会話、それらに触れることがどういう感じか、そこで僕は初めて少しだけ理解したのでした。
底辺校のクラスメートたちは、学校にいるときと全然違う奴もいれば、ほとんど同じ雰囲気・キャラの奴もいたりと、多様だった。飲むと変わる奴や、飲めない奴もいて、結構興味深かった。なによりも、昼間の学校では話してるとこ見たことないような奴ら同士でお喋りしてたり、全然接点の無いような連中同士で盛り上がったりしてんの見ると興味深かった。男女も、キャラも、立場も関係なく、みんなが高校生らしく混ざり合ってんの。へェ、こいつら仲良しなんだな、と思った。下町気質なのか。どこかあの頃僕がいたあのクラスは、クラスメートがクラスメートに対して優しくて、底辺校故に競争なんてのも全く無くて緊張感なんて全く無くて、堅苦しい団結力(僕はこれが大嫌い)も無くて、ゆるゆるだらだらどちらさんも楽しくやろっよみたいな平和な空気があったんだよ。中学の陰険で硬直的な閉鎖性に比べると、全然開放的で平等で尚平和だったんだ。
「takebono君、楽しんでる?」と、昼間より何倍も濃い化粧をしたA(名前忘れた)さんが、喧騒の中、無表情で聞いてきた。何とか聞き取れたので、「うん楽しいヨ」と答えてジョッキのビールを飲み干した。バカ共が歓声を上げるのが少しだけ楽しかった。酒とコミュニティーって力を持ってるんだなァとそのとき初めて僕は思ったのでした。
【つづっく】
今回は、永久凍土のようだったtakebonoのソウルを、初めてほんの少しだけ溶け落ちるくらいに暖めてくれたある冬の夜の話だよ。
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高校に入ってからよく摂取するようになったアルコール類は、虚ろなtakebonoをハイにさせた。悪名高きYNさんや破滅士USとよく飲んだっけ。飲みまくって公園で花火をしたりね。あんときは通報されそうになったね。迷惑行為だからやめようね。YNさんとは土手で昼間から飲んだこともあったね。あんときは吐いたね。夜中に酔って川に落ちそうになったこともあったね。あんときも大量に花火したりね。ホントにクズ高校生は夜と野外と火と爆音がすきみたいなんだ。嘔吐物みたいな会話しかしなかったし、誰がいなくなっても全然構わなかったし、そのくせ不幸をネタにしたり、セーフティーをキープしてたり、どーでもいい醜悪なトレンドに一喜一憂したりしてたんだ。世の中のほとんどのことは僕らにとって「関係無い」ものだったし、誰にとってもごくありふれた「つまらない」日常だったくせに、そうだ、とりわけ楽しくもないのに死にたくもなく、そんなことくらいしか僕らはやることがなかったんだ。こんな日々が後に「思い出」だとか「青春だったね」とか、ホントやめてくれって。記憶がなくていい。過去がそんな風にカテゴライズされたとして、やっぱり悪酔いと同じような吐き気がするんだろうなって。
そんな酒の飲み方しか知らなかったtakebonoさんが初めて大勢での飲み会に行ったのは高2の時でした。クラスで飲み会やるっていうから行ったのです。なんでかっていうと、場所がなぜか最寄りのS駅だったから。ま、近いしいくか、ってノリで。誰が見つけたのか知らんがS駅のあのゴミ溜めみたいな裏路地の居酒屋の二階。角のスペースが貸しきりだったっけ。初めて居酒屋での同年代の奴らの喧騒や会話、それらに触れることがどういう感じか、そこで僕は初めて少しだけ理解したのでした。
底辺校のクラスメートたちは、学校にいるときと全然違う奴もいれば、ほとんど同じ雰囲気・キャラの奴もいたりと、多様だった。飲むと変わる奴や、飲めない奴もいて、結構興味深かった。なによりも、昼間の学校では話してるとこ見たことないような奴ら同士でお喋りしてたり、全然接点の無いような連中同士で盛り上がったりしてんの見ると興味深かった。男女も、キャラも、立場も関係なく、みんなが高校生らしく混ざり合ってんの。へェ、こいつら仲良しなんだな、と思った。下町気質なのか。どこかあの頃僕がいたあのクラスは、クラスメートがクラスメートに対して優しくて、底辺校故に競争なんてのも全く無くて緊張感なんて全く無くて、堅苦しい団結力(僕はこれが大嫌い)も無くて、ゆるゆるだらだらどちらさんも楽しくやろっよみたいな平和な空気があったんだよ。中学の陰険で硬直的な閉鎖性に比べると、全然開放的で平等で尚平和だったんだ。
「takebono君、楽しんでる?」と、昼間より何倍も濃い化粧をしたA(名前忘れた)さんが、喧騒の中、無表情で聞いてきた。何とか聞き取れたので、「うん楽しいヨ」と答えてジョッキのビールを飲み干した。バカ共が歓声を上げるのが少しだけ楽しかった。酒とコミュニティーって力を持ってるんだなァとそのとき初めて僕は思ったのでした。
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