雪が降ったなあ。
雪には思い出がない。
雪、ゆきゆきて。
こんな日は軽く教養になる本でも読もう。どうだいこんな本。。。
☆☆

会計とか会計学とかって苦手?僕苦手。「入門」レベルで難しい。僕は数学とか数字とか大っ嫌いだから。でも食わず嫌いかも、とも思う。僕と同じこと思ってる人きっとたくさんいたんだろう。昨年『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』山田真哉著(光文社新書)がベストセラーになりました。会計のこと少しでもわかりたいっていうそこらの人々が支持したこの本、あっさり読んでみたよ。
余談ですが、地元の図書館で借りようとしたら、なんと500人待ち。狂ってら。ベストセラーだからってみんなで借りてまで読みたがらなくてもいいのに。買う人たくさんいたからベストセラーなんだろ?買えよ新書くらい。…そんなこと言っておきながら僕は学校の図書館で普通に借りました。しかし学生の方が社会人より本読んでないのだな。

で、内容は会計の話でした。まずはタイトルにもある「さおだけ屋」のお話から。

「さおだけ屋」って?そう、あれですよ。あの、「たーけや〜さおだけ〜さおだけ〜。2本で千円」とかわめきながら不定期でトラックで町内まわってて、そのうちどこかに去っていっちゃうあの謎の商売のこと。単純に考えて、儲かってんの?て誰でも思う。そして絶対儲かってないと思うはず。大体「さおだけ」って?買う人いるの?使い捨てでも買い換え商品でもない。それに、欲しいときは各自スーパーにでもいくだろ。不定期(うちの町内は3ヶ月に一回くらいしか見ないなぁ)に日中うろうろして商売になるの?でも潰れないで長いこと続けられてるみたいなのはなんでなの?って話。
〈事実1〉「そもそも、さおだけはそんなに需要がない」
〈事実2〉「わざわざ、さおだけ屋から買うメリットもない」
だけど潰れずに成り立っている。疑問と謎に満ちた「さおだけ屋」の経営。しかし会計学が一気にその謎を解くのです。 “謎を解け”

まず「さおだけ屋」は副業であり、本職は商店街の金物屋だったりするという真実がある。金物屋の商売で自宅に配達するついでにだったり、仕事の合間にだけ「さおだけ〜」を営業しているのである。さおだけも人件費もトラック代もガソリン代も全部本業のものを流用しているから諸経費ゼロ。万が一売れたらラッキーだし、本業の金物屋の宣伝にもなるんだそうだ。
そう、さおだけ屋の正体は「初期投資のかからない副業」だったのである。

この一連のさおだけ屋の謎から見えてくる、「商売」の本質…「利益を上げる」ってことは、、、
・売り上げを増やす
・費用を減らす
この実にシンプルな2点をどこまで掴むかにかかっているのだという。
さおだけ屋はこの「商売」の基本をおさえてるからこそこれだけ長い期間にわたって全国的に地味ながら「ゴーイング・コンサーン(企業にとって大前提である「継続」すること)」できているのである。「売り上げを増やす」よりも、「費用を減らす」に重点を置いた利益の上げ方は、副業としての「さおだけ屋」がなせる仕組みでもあるってことだな。

少し身近に置き換えてこの基本構造を見てみよう。「売り上げを増やす」は、企業なら設備投資や新規市場開拓だろう。じゃあ個人ならどう?…「昇進」や「残業増やす」とか「土日バイトする」とか考えられるけど、それって結構大変だよね。でもアフェリエイトとか株とかもなかなか難しいよね。だから個人は「利益を上げる」ことを考えるならば、「費用を減らす」ことがやはり賢明なんだ。「節約」ってやつですよ。

そして筆者は「節約は絶対額で考える」べきだという。100万円のものを1%引き99万円で購入するのと、1000円のものを50%引きで500円で購入するのを比較した場合、一見後者が断然お得に見えるけど、実際の節約額は1万円>500円なわけだ。後者のような節約を繰り返す人ほど、マイホームや結婚式で「一生に一度のイベントですから」と言われると「高くてもいいや」となっちゃうらしい。 チリが積もってもなかなか山にはならないのに、山はすぐ崩されるもんなのです。毎日100円節約して、「たまにはパッと」5万使ったら、一年間で「100(円)×365(日)−5万(円)=マイナス1万3500円」で大赤字である。 「こういう人は非常に赤字を出しやすい性質なので経営者には向いていない。節約した気になっているだけで会計を見ていないのである」(p42)と筆者は苦言を呈す。僕もその通りだと思う。

「節約は絶対額で考える」は、「常に費用対効果を考えればいい」という反論を受ける。確かに、値段に見合った効果が期待される買い物をいつも心がければいいのである。だけど、行きつけのスーパーならともかく、値段の相場情報がわからないときはどうするのか。例えば食器洗い乾燥機が店頭で「水道代がナント年間8万円の節約!」という推しで売られてたら、「今買って何年でモトが取れるかな…?」と考え込んでも仕方ないのだ。食器洗い乾燥機はジャーやレンジのように結構電力を食う知られざる家電であり、水道代を節約した分それは電気料金にはねかえってくるというカラクリがあるからだ。「手洗い」とトータルコストでは差はないことを、東京電力はHPでも実験結果を公表している。このように情報源が偏っている場合、本当の費用対効果はわからないのである。

要するに無駄な物は買わないということと、数字に騙されないということである。「安いから」「お得だから」よりも、「時間の節約」「置き場」「効用」等々、熟慮し悩むべきファクターはたくさんあるのだ。数字だけではないからこそ、数字に惑わされないために、「会計」的な感覚が必要なのだという。わかりやすい。
そして「自分の家計状況を知っていること」で、食器洗い乾燥機だけで水道代が年間8万も節約されるわけがないということくらいわかるようになると筆者はいう。

長々書いちゃった。えへへ。ちょっとベストセラーになった理由がわかったような気がした。特に親愛なる浪費家の諸君は「会計」に興味を持ちましょう。

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