ブルーダークの少年の記憶【Ⅶ】
2006年3月29日 エッセイみんなは生きててマジでビビったときってあるかい? 「ビビる」は「恐怖」とは少し違うんだよ僕の中では。あれは一瞬の「危機意識」みたいな、発作のような、硬直するような、そんな感覚なんだ。元来ビビり屋のtakebonoは、あの当時よく「恐怖」以外にも色々なものにビビってたっけ。
今回は、takebonoがものすげービビったある日の出来事の話だ。
◆
その日の夕方。いつものように、僕はくだらねー高校の帰り道で。だらだらっと自転車に乗りながら、高速道路のガード下を進んでいた。
人気の無い高速ガード下――。僕が漕ぐ自転車の前方には、これまたどっかの高校の制服姿で、体すごくでかいヤンキーっぽい男が、これまただらだらっと自転車を走らせてた。僕は別にそんなん気にしないで、自転車の前カゴに入れてたmyカバンを何となくいじってた。そしたら手がひっかかって自転車のハンドルのとこのベルを若干鳴らしてしまった。いけねっ、っと思った。
そしたらいきなしその男が自転車を方向転換させて、僕の自転車の横側に並んできた。
「コラてめー」とそいつは言った。
なんだ?え?僕か?こいつ何?誰?いきなりどうしたのよ?狂ってんのか?と、僕は思った。
「サイフ出せコラ」
まずビビった。でもまだ頭のどこかで、これ現実?とか思ってた。危機意識の無いジャパニーズというより、ただ鈍感というか…。おぉっこれが「カツアゲ」ってやつかぁ☆なんて考えてた。バカなtakebonoくん。
その間に、そいつは自分の制服の内側の胸ポケットをゴソゴソし始めた。
なにやってんだコイツ?って最初思った。でも次の瞬間それが何を意味してるのか一瞬でわかって、僕は初めて心臓が凍り付いてバゴンとそれが割れたように鳴った。
「刺すぞコラ」
マジかよッ…。直感した。ナイフだ。
サイフ出せっつってコイツはナイフ出しやがッた。バカかッてめえッッ。やべ、やべー、やべーぞ!おいおいおい!
声が震えて上ずった。「やめろ…」とかって言ったかと思う。確かそうだ。まぁ当然そいつはやめるわけないんだけど。とにかくホントにビビった。マジで。
そんで、考える前に体が動いた(ってのはこうゆうことだろうと後で思った)。僕は、横付けしてたそいつの自転車の車輪を思い切り足の裏で蹴り付けた。ガシャコーン!!
そいつは自転車ごとのけぞった。ここしかねえ!いま逃げるしかねえ!
火事場の馬鹿力ってあのことですよ。ものすげえ脚力で僕はペダルを漕いだ。競輪の選手みたいに。グアシグアシギュギュギュ!って。逃げっ…た、と思った。
だけどそいつ!追ってきやがったのだ!
恐えー!恐えーっ!わあああぁぁ!
猛スピード!追う者!追われる者!
すぐ先に車がガンガン走ってる道路があった。突っ込んだらやべえ!二人とも死ぬぞ!だけど止まるわけにいかねえんだこっちは!そして突っ込んだ。プァ・パ・パ・パー!!…死ぬぞっ!
猛スピードで交差点に突っ込んだ僕は、衝突寸前でトラックをかわし、そのまま道路を突っ切ってしまった。
すぐ後方の気配が無くなったのがわかった。振り返ると、道路の向こう側でUターンしてくそいつの自転車の後ろ姿が見えた。はあああああ…逃げ切ったわあ…。
気が付くとハァーハァー呼吸してた。汗がどっと出てた。
「退屈な日常」だなんて冗談じゃねえよ。スリルありすぎなんだよ。何で僕がこんな目に合うんだよ畜生、と思った。
ばかげすぎてんだよ高校生。なんなんだよ、くたばれよ、と思った。でもホントはすっごくホッとした。バカヤローと呟いてた。
そんなこんなである日のブルーダークメモリでした。
【END】
今回は、takebonoがものすげービビったある日の出来事の話だ。
◆
その日の夕方。いつものように、僕はくだらねー高校の帰り道で。だらだらっと自転車に乗りながら、高速道路のガード下を進んでいた。
人気の無い高速ガード下――。僕が漕ぐ自転車の前方には、これまたどっかの高校の制服姿で、体すごくでかいヤンキーっぽい男が、これまただらだらっと自転車を走らせてた。僕は別にそんなん気にしないで、自転車の前カゴに入れてたmyカバンを何となくいじってた。そしたら手がひっかかって自転車のハンドルのとこのベルを若干鳴らしてしまった。いけねっ、っと思った。
そしたらいきなしその男が自転車を方向転換させて、僕の自転車の横側に並んできた。
「コラてめー」とそいつは言った。
なんだ?え?僕か?こいつ何?誰?いきなりどうしたのよ?狂ってんのか?と、僕は思った。
「サイフ出せコラ」
まずビビった。でもまだ頭のどこかで、これ現実?とか思ってた。危機意識の無いジャパニーズというより、ただ鈍感というか…。おぉっこれが「カツアゲ」ってやつかぁ☆なんて考えてた。バカなtakebonoくん。
その間に、そいつは自分の制服の内側の胸ポケットをゴソゴソし始めた。
なにやってんだコイツ?って最初思った。でも次の瞬間それが何を意味してるのか一瞬でわかって、僕は初めて心臓が凍り付いてバゴンとそれが割れたように鳴った。
「刺すぞコラ」
マジかよッ…。直感した。ナイフだ。
サイフ出せっつってコイツはナイフ出しやがッた。バカかッてめえッッ。やべ、やべー、やべーぞ!おいおいおい!
声が震えて上ずった。「やめろ…」とかって言ったかと思う。確かそうだ。まぁ当然そいつはやめるわけないんだけど。とにかくホントにビビった。マジで。
そんで、考える前に体が動いた(ってのはこうゆうことだろうと後で思った)。僕は、横付けしてたそいつの自転車の車輪を思い切り足の裏で蹴り付けた。ガシャコーン!!
そいつは自転車ごとのけぞった。ここしかねえ!いま逃げるしかねえ!
火事場の馬鹿力ってあのことですよ。ものすげえ脚力で僕はペダルを漕いだ。競輪の選手みたいに。グアシグアシギュギュギュ!って。逃げっ…た、と思った。
だけどそいつ!追ってきやがったのだ!
恐えー!恐えーっ!わあああぁぁ!
猛スピード!追う者!追われる者!
すぐ先に車がガンガン走ってる道路があった。突っ込んだらやべえ!二人とも死ぬぞ!だけど止まるわけにいかねえんだこっちは!そして突っ込んだ。プァ・パ・パ・パー!!…死ぬぞっ!
猛スピードで交差点に突っ込んだ僕は、衝突寸前でトラックをかわし、そのまま道路を突っ切ってしまった。
すぐ後方の気配が無くなったのがわかった。振り返ると、道路の向こう側でUターンしてくそいつの自転車の後ろ姿が見えた。はあああああ…逃げ切ったわあ…。
気が付くとハァーハァー呼吸してた。汗がどっと出てた。
「退屈な日常」だなんて冗談じゃねえよ。スリルありすぎなんだよ。何で僕がこんな目に合うんだよ畜生、と思った。
ばかげすぎてんだよ高校生。なんなんだよ、くたばれよ、と思った。でもホントはすっごくホッとした。バカヤローと呟いてた。
そんなこんなである日のブルーダークメモリでした。
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