◇吉村昭『朱の丸御用船』。N先生、おもしろかつたよ。歴史小説って、読むの眠いんやけど、なんかすげえ残るねえ。
−江戸末期、志摩国波切村の沖に、難破した御城米船(幕府領の年貢米輸送船)が流れ着く。村の漁民たちは、積み荷の年貢米を密かに強奪することに成功する。村ぐるみの犯行は完全に隠蔽されたかに見えたが、難破船に隠された意外な事実が発覚し、村は最悪の悲劇に見舞われる。
生産物に対し合法的な強奪がそもそも行われていて、その過程においてまた強奪が行われて、その流れ着いた先でも強奪が。自然の恵みに対し人間は網をかけ、また網をかけられてもいる。
いつの世も弱い立場の者は、それだけで歴史の悲劇を生んでいるな。
ラストにゃホロリと。
−江戸末期、志摩国波切村の沖に、難破した御城米船(幕府領の年貢米輸送船)が流れ着く。村の漁民たちは、積み荷の年貢米を密かに強奪することに成功する。村ぐるみの犯行は完全に隠蔽されたかに見えたが、難破船に隠された意外な事実が発覚し、村は最悪の悲劇に見舞われる。
生産物に対し合法的な強奪がそもそも行われていて、その過程においてまた強奪が行われて、その流れ着いた先でも強奪が。自然の恵みに対し人間は網をかけ、また網をかけられてもいる。
いつの世も弱い立場の者は、それだけで歴史の悲劇を生んでいるな。
ラストにゃホロリと。
ノベルを述べる79・2
2006年11月28日 読書 コメント (2)
はい。
つづきですね。
◇『塗仏の宴―宴の始末』。この上下巻には、いいかげんにしろと思ったけれど、まさしく一気に読んでしまった。読みふけり、気付いたら真夜中、てなことも。ぐっ、これこそ憑き物じゃないかっ。
「この世の中には――不思議でないことなどないのです。
世界は不思議に満ち満ちている。ここに私がいることも、そこにあなたが居ることも、不思議と云えば皆不思議だ。
あなたは何を以てしてあなたの記憶しているあなたの歴史を信じるのです?」
−大戦下、伊豆山中の或る一つの集落が忽然と消滅した――。15年を経て「宴」の支度は整い、京極堂の沈黙を余所に、そのおぞましく凄惨な幕が開く――。
開かずの間の前で行われた大量殺戮。
記録と記憶を巡る攻防戦の最中、唯一生き残った女は、全裸で木に括り付けられ発見された。犯人は――私だった!?
塗仏の台座に座りしそれを知る者、己の在処を喪失せり。
「知りたいですか?」
「知り――たいです」
新興宗教VS風水VS気功VS教えVS財閥VS予知能力VS京極堂!!!
怒りと哀しみの京極堂、立つ――!!
6つの集団と幻の村を巡り、いま6つ巴の争奪戦が開始された。
この恐るべき「宴」の驚愕の真実は――!!?
「意味があることにどんな意味があるのです? 得があることや、救いがあることや、根拠のあることは、損をすることや救われないことや無根拠なことより勝っていると云うのですか?
この世には――不思議なことなど何も無いのです」
今回は「記憶」「記録」をめぐる攻防戦。いまここにいる自分ですら、それを形成してる「記憶」「記録」ですら、実は相当に不確かなもの。現実とはそういうもの。塗仏のようなもの。「わたしはわたし」であるということは、惰性であり奇跡であるわけだな。
京極堂はいつもいいこと言うよね。
つづきですね。
◇『塗仏の宴―宴の始末』。この上下巻には、いいかげんにしろと思ったけれど、まさしく一気に読んでしまった。読みふけり、気付いたら真夜中、てなことも。ぐっ、これこそ憑き物じゃないかっ。
「この世の中には――不思議でないことなどないのです。
世界は不思議に満ち満ちている。ここに私がいることも、そこにあなたが居ることも、不思議と云えば皆不思議だ。
あなたは何を以てしてあなたの記憶しているあなたの歴史を信じるのです?」
−大戦下、伊豆山中の或る一つの集落が忽然と消滅した――。15年を経て「宴」の支度は整い、京極堂の沈黙を余所に、そのおぞましく凄惨な幕が開く――。
開かずの間の前で行われた大量殺戮。
記録と記憶を巡る攻防戦の最中、唯一生き残った女は、全裸で木に括り付けられ発見された。犯人は――私だった!?
塗仏の台座に座りしそれを知る者、己の在処を喪失せり。
「知りたいですか?」
「知り――たいです」
新興宗教VS風水VS気功VS教えVS財閥VS予知能力VS京極堂!!!
怒りと哀しみの京極堂、立つ――!!
6つの集団と幻の村を巡り、いま6つ巴の争奪戦が開始された。
この恐るべき「宴」の驚愕の真実は――!!?
「意味があることにどんな意味があるのです? 得があることや、救いがあることや、根拠のあることは、損をすることや救われないことや無根拠なことより勝っていると云うのですか?
この世には――不思議なことなど何も無いのです」
今回は「記憶」「記録」をめぐる攻防戦。いまここにいる自分ですら、それを形成してる「記憶」「記録」ですら、実は相当に不確かなもの。現実とはそういうもの。塗仏のようなもの。「わたしはわたし」であるということは、惰性であり奇跡であるわけだな。
京極堂はいつもいいこと言うよね。
◇京極夏彦妖怪シリーズ6弾『塗仏(ぬりぼとけ)の宴―宴の支度』。相変わらず辞書並みの厚さ。しかも、ゲッ、1冊で終わらねえのかよこれー。
しかし、しかししかし、京極堂シリーズ集大成とも思わせるような、キャラ総出演、妖怪だらけ。
息つく間もない展開またサプライズ。
え?どうゆうこと?の連続。くらくらするぜ目眩坂。
囚われた関口。救出は成るのか京極堂。
そして、、、真犯人は誰なんだョ??
塗仏、恐えー。
自分は自分で在って自分ではないんだな。
ええ。
つづくのですね。
しかし、しかししかし、京極堂シリーズ集大成とも思わせるような、キャラ総出演、妖怪だらけ。
息つく間もない展開またサプライズ。
え?どうゆうこと?の連続。くらくらするぜ目眩坂。
囚われた関口。救出は成るのか京極堂。
そして、、、真犯人は誰なんだョ??
塗仏、恐えー。
自分は自分で在って自分ではないんだな。
ええ。
つづくのですね。
takebonoソウルアーチスト
2006年11月23日 読書
岡本太郎の伝説のベストセラー『今日の芸術―時代を創造するものは誰か』。
「――岡本太郎はね、takebonoくんがいつも言っていることと、ただ同じことを言ってるんだよ」
そんなことを言われて手渡され、読んでみた。
そこに溢れていたものはソウルだった。
これこそがソウル。ソウルフル。
これが50年前に書かれた本だと信じられるか。
岡本太郎はソウルの鬼だった。
「今日の芸術は、うまくあってはならない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない」
生命の燃焼。
自由への自覚。
魂と魂のファック。
何者でもなく、何者にもとらわれぬ、
グッチャグッチャの、
メッチャクッチャの、
吐き尽くした後の涙のような。
血液に混じった体液のような。
あるものが、ありのままに出るということ、まして、それを自分の力で積極的に押し出して表現しているならば、それはけっして恥ずかしいことではないはずです。
芸術の問題は、うまい絵をではなく、またきれいな絵をでもなく、自分の自由に対して徹底的な自信を持って、表現すること、せんじつめれば、ただこの“描くか・描かないか”だけです。あるいはもっと徹底した言い方をすれば、「自信を持つこと、決意すること」だけなのです。
鎮魂歌に耳をふさぎ、
誰にでも存在するものを、
誰もが爆発させようと、
己の全存在をかけた狂気なるビッグ・バンを、
わけもわからぬまま、
あらゆるやり方で、
どんなことをしてでも、
どうにかして、
開放させること。
解放させること。
「自分が、
現在、
すでにそうである、こと」
現在にないものは永久にない。
将来あるものならば必ず現在ある。
生命の衝動。
存在の渇望。
心臓の鳴る世界を生きている。
そのものの答え。
ソウルを求める全ての人に読まれる伝説の著書。
魂を揺さぶる一冊となろう。
この感覚を、生涯忘れたくないな、と思った。
「――岡本太郎はね、takebonoくんがいつも言っていることと、ただ同じことを言ってるんだよ」
そんなことを言われて手渡され、読んでみた。
そこに溢れていたものはソウルだった。
これこそがソウル。ソウルフル。
これが50年前に書かれた本だと信じられるか。
岡本太郎はソウルの鬼だった。
「今日の芸術は、うまくあってはならない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない」
生命の燃焼。
自由への自覚。
魂と魂のファック。
何者でもなく、何者にもとらわれぬ、
グッチャグッチャの、
メッチャクッチャの、
吐き尽くした後の涙のような。
血液に混じった体液のような。
あるものが、ありのままに出るということ、まして、それを自分の力で積極的に押し出して表現しているならば、それはけっして恥ずかしいことではないはずです。
芸術の問題は、うまい絵をではなく、またきれいな絵をでもなく、自分の自由に対して徹底的な自信を持って、表現すること、せんじつめれば、ただこの“描くか・描かないか”だけです。あるいはもっと徹底した言い方をすれば、「自信を持つこと、決意すること」だけなのです。
鎮魂歌に耳をふさぎ、
誰にでも存在するものを、
誰もが爆発させようと、
己の全存在をかけた狂気なるビッグ・バンを、
わけもわからぬまま、
あらゆるやり方で、
どんなことをしてでも、
どうにかして、
開放させること。
解放させること。
「自分が、
現在、
すでにそうである、こと」
現在にないものは永久にない。
将来あるものならば必ず現在ある。
生命の衝動。
存在の渇望。
心臓の鳴る世界を生きている。
そのものの答え。
ソウルを求める全ての人に読まれる伝説の著書。
魂を揺さぶる一冊となろう。
この感覚を、生涯忘れたくないな、と思った。
◇村上龍『五分後の世界』。なるほど傑作かも。
−いつしかその世界に迷い込んだ。腕時計は5分ずれていた。
本土決戦により焦土と化した敗戦国日本は、各大国により分割され、内戦を勃発させていた。人口を激減させた日本人たちは、地下に新たなアンダーグラウンド国家を建設し、駐留国連軍とのゲリラ戦を繰り広げていた。
5分のずれで現れたもう一つの日本は、独立戦闘国家として、世界中に勇気とプライドを示し続けていた。
ナショナリストが喜びそうなストーリイだなや。
だがしかし戦闘描写は凄まじい。飛び散る肉片また肉片。
アンダーグラウンドで使われている教科書を、主人公が読むシーンは必見。おお。
−いつしかその世界に迷い込んだ。腕時計は5分ずれていた。
本土決戦により焦土と化した敗戦国日本は、各大国により分割され、内戦を勃発させていた。人口を激減させた日本人たちは、地下に新たなアンダーグラウンド国家を建設し、駐留国連軍とのゲリラ戦を繰り広げていた。
5分のずれで現れたもう一つの日本は、独立戦闘国家として、世界中に勇気とプライドを示し続けていた。
ナショナリストが喜びそうなストーリイだなや。
だがしかし戦闘描写は凄まじい。飛び散る肉片また肉片。
アンダーグラウンドで使われている教科書を、主人公が読むシーンは必見。おお。
巷で人気作家の伊坂幸太郎の『終末のフール』。
−あと3年で世界が終わるなら、僕らは何をするだろう?
「8年後に小惑星が落ち、地球は滅亡する」と発表され5年が経過。犯罪の増加と秩序の崩壊は徐々に治まり、小康状態を保つ仙台市が舞台。北部団地に住む人々は、終末へ向け、それぞれの人生を過ごしていた。それぞれの終末を描く短編集。
終末は人々を自由にする。優しく微笑む女神のように。
あと3年で世界が終わるなら、、、
憎んでいたあの人を許してみませんか?
生命を産んでみませんか?
復讐を遂げてみませんか?
恋をしてみませんか?
夢を叶えてみませんか?
誰かのために何かをしてあげようと思いませんか?
最後の最後の最後の瞬間まで、必死に生きてみようと思いませんか?
出産に悩む夫婦。復讐に燃える兄弟。恋に走る少女。運命に萌える男。使命に輝く女。最後の瞬間まで必死に生きようとする家族。どれも素敵なストーリーでした。
だけどなんといっても5話目の『鋼鉄のウール』だね。
あと3年で世界が終わるというのに黙々とトレーニングに励む無口で愚直なキックボクサーの話。物語の中で彼が「明日死ぬって言われたらどうする?」と質問されるシーンがあるのだけど、彼はこう答えるんですね。
「ぼくにできるのは、ローキックと左フックしかないですから」
そして続けてこう言うの。
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?
あなたの生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
この物語の主人公はその言葉に涙を流すのだけど、考えてみればシンプルな言葉なのだ。
そんでもって、この本の最後の「謝辞」まで読んでみてビックリ。
このキックボクサーのモデルは、あの武田幸三なの!!!
それを知ったときに初めて涙を流しましたよ僕は。ああぁ、ってね。
なるほどなぁ。伊坂幸太郎も僕と同じことを思ったに違いないや。たとえ世界の終わりが来ても、武田なら黙々とサンドバッグ叩いてるだろうからな。
世界の終わりが来たら、僕はビールを飲みながら昼寝したいね。
−あと3年で世界が終わるなら、僕らは何をするだろう?
「8年後に小惑星が落ち、地球は滅亡する」と発表され5年が経過。犯罪の増加と秩序の崩壊は徐々に治まり、小康状態を保つ仙台市が舞台。北部団地に住む人々は、終末へ向け、それぞれの人生を過ごしていた。それぞれの終末を描く短編集。
終末は人々を自由にする。優しく微笑む女神のように。
あと3年で世界が終わるなら、、、
憎んでいたあの人を許してみませんか?
生命を産んでみませんか?
復讐を遂げてみませんか?
恋をしてみませんか?
夢を叶えてみませんか?
誰かのために何かをしてあげようと思いませんか?
最後の最後の最後の瞬間まで、必死に生きてみようと思いませんか?
出産に悩む夫婦。復讐に燃える兄弟。恋に走る少女。運命に萌える男。使命に輝く女。最後の瞬間まで必死に生きようとする家族。どれも素敵なストーリーでした。
だけどなんといっても5話目の『鋼鉄のウール』だね。
あと3年で世界が終わるというのに黙々とトレーニングに励む無口で愚直なキックボクサーの話。物語の中で彼が「明日死ぬって言われたらどうする?」と質問されるシーンがあるのだけど、彼はこう答えるんですね。
「ぼくにできるのは、ローキックと左フックしかないですから」
そして続けてこう言うの。
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?
あなたの生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
この物語の主人公はその言葉に涙を流すのだけど、考えてみればシンプルな言葉なのだ。
そんでもって、この本の最後の「謝辞」まで読んでみてビックリ。
このキックボクサーのモデルは、あの武田幸三なの!!!
それを知ったときに初めて涙を流しましたよ僕は。ああぁ、ってね。
なるほどなぁ。伊坂幸太郎も僕と同じことを思ったに違いないや。たとえ世界の終わりが来ても、武田なら黙々とサンドバッグ叩いてるだろうからな。
世界の終わりが来たら、僕はビールを飲みながら昼寝したいね。
うへらうへらtakebono
2006年11月15日 読書 コメント (1)
町田康『へらへらぼっちゃん』。
これは…エッセイなのか?
笑った。いや一人でうひっひっひと随所で笑った。
いや町田康、天才。カリスマ。くずのカリスマ。
どうしょうもない。
どうしょうもないってこんくらいのレベルで初めて絶望的。
実際どんなだか知らないけど、多くの人に希望を与える書であることは間違いない。
こんなもの読んじゃいけませんよ。ははは。
ニートになっちゃうよ。あっははは。
うへらうへら。
うわー二度と読みたくないけど、すげーおもしろかった。
くっもう手に取らないぞっ。
これは…エッセイなのか?
笑った。いや一人でうひっひっひと随所で笑った。
いや町田康、天才。カリスマ。くずのカリスマ。
どうしょうもない。
どうしょうもないってこんくらいのレベルで初めて絶望的。
実際どんなだか知らないけど、多くの人に希望を与える書であることは間違いない。
こんなもの読んじゃいけませんよ。ははは。
ニートになっちゃうよ。あっははは。
うへらうへら。
うわー二度と読みたくないけど、すげーおもしろかった。
くっもう手に取らないぞっ。
手塚治虫『ぼくのマンガ人生』。
なんでこんなにも震えるの。
天国の手塚先生。
手塚チルドレンのtakebonoは、
先生のマンガがなかったら生きてこられなかったよ。
『グリンゴ』も『ネオ・ファウスト』も、
『火の鳥』も、
『ブラックジャック』も、
もっともっと、
もっともっともっともっと、…
描いてほしかった。
読みたかった。
読みたかったよう。
『紙の砦』に震えたtakebonoさんは、
『どろろ』や『奇子』を初めて読んだときの衝撃を覚えてる。
『ミッドナイト』と『七色いんこ』を読みふけり、
『シュマリ』に涙した。
『きりひと賛歌』と『アドルフに告ぐ』に呻き、
『三つ目がとおる』にワクワクし、
『ブッダ』や『ばるぼら』…
ああ、アトムもレオも、
ヒゲオヤジもランプも、
ヒョウタンツギさえも、
生命をかけた、人間の価値の模索だったのだ。
ヒューマンガニズムの偉大な父。
僕に生きろと言ってくれた。
一度でいいから会いたかった。
いまこの混沌の世で、手塚先生が生きていたのなら何を描くだろう。
なんでこんなにも震えるの。
天国の手塚先生。
手塚チルドレンのtakebonoは、
先生のマンガがなかったら生きてこられなかったよ。
『グリンゴ』も『ネオ・ファウスト』も、
『火の鳥』も、
『ブラックジャック』も、
もっともっと、
もっともっともっともっと、…
描いてほしかった。
読みたかった。
読みたかったよう。
『紙の砦』に震えたtakebonoさんは、
『どろろ』や『奇子』を初めて読んだときの衝撃を覚えてる。
『ミッドナイト』と『七色いんこ』を読みふけり、
『シュマリ』に涙した。
『きりひと賛歌』と『アドルフに告ぐ』に呻き、
『三つ目がとおる』にワクワクし、
『ブッダ』や『ばるぼら』…
ああ、アトムもレオも、
ヒゲオヤジもランプも、
ヒョウタンツギさえも、
生命をかけた、人間の価値の模索だったのだ。
ヒューマンガニズムの偉大な父。
僕に生きろと言ってくれた。
一度でいいから会いたかった。
いまこの混沌の世で、手塚先生が生きていたのなら何を描くだろう。
ノベルを述べる76−いじめはよせぇ
2006年11月9日 読書
◇雨宮処凛『ともだち刑』。何故か読むことになりました。中学生のいじめとその復讐の話でした。
−ともだちだったはずの「あなた」と「わたし」。ある小さな瞬間に、その関係はとてつもなく大きく変わってしまった。地方のとある中学校を舞台にくりひろげられる中学生の残酷なドラマ。
あなたがあなたであるために、わたしはわたしでいられなくなった。わたしがわたしであるために、あなたをあなたでなくしてあげる。
「この物語から目を背けてはいけない」
ほんとそうだ。
僕もかつて思っていたことだ。
ともだちとは、刑罰であると。
いま巷では、いじめ問題が取りざたされている。
様々なリアルが主義主張となってぶつかり合っている。
泥水の如く。
いつものことだ。
教育とは何か?
其所に立ち戻らない限り、それぞれが望む決着すらないというのに。
いじめ自殺予告者よ。
死ぬな。
自殺なんかタヴーでもない。
イケてもいない。憧れでもない。
夕飯のおかずを考えるのと同じくらいに、みんな自殺を考えている。凄くもなんともない。こんな時代だ。
こんな僕だって自殺を何万回か考えた。凄くもなんともない。
だけど。イラつくのは、
ほとんどの人は、自殺する資格なんか無いまま自殺をしようとしていることだ。
安易すぎる生の決着が、
ソウルがなさすぎて吐き気がするんだ。
僕は君が死ぬことを認めない。
死ぬ資格の無い君が、あっさり楽になることを許さない。
一度でいい。
僕に認めさせてみろ。
自ら命を絶つ資格を、見せてみろ。
僕は僕に、いま死ぬ資格がないことを知っている。だから絶対に死ねないのだ。
かつて。
ともだちを殺したくて仕方がなかった。
それでもともだちがほしかった。
ともだちは刑罰だった。
代償だった。
だから、
殺すことで済むわけがなかった。
死ぬな。
死ぬな、だ。
僕に会いに来い!
−ともだちだったはずの「あなた」と「わたし」。ある小さな瞬間に、その関係はとてつもなく大きく変わってしまった。地方のとある中学校を舞台にくりひろげられる中学生の残酷なドラマ。
あなたがあなたであるために、わたしはわたしでいられなくなった。わたしがわたしであるために、あなたをあなたでなくしてあげる。
「この物語から目を背けてはいけない」
ほんとそうだ。
僕もかつて思っていたことだ。
ともだちとは、刑罰であると。
いま巷では、いじめ問題が取りざたされている。
様々なリアルが主義主張となってぶつかり合っている。
泥水の如く。
いつものことだ。
教育とは何か?
其所に立ち戻らない限り、それぞれが望む決着すらないというのに。
いじめ自殺予告者よ。
死ぬな。
自殺なんかタヴーでもない。
イケてもいない。憧れでもない。
夕飯のおかずを考えるのと同じくらいに、みんな自殺を考えている。凄くもなんともない。こんな時代だ。
こんな僕だって自殺を何万回か考えた。凄くもなんともない。
だけど。イラつくのは、
ほとんどの人は、自殺する資格なんか無いまま自殺をしようとしていることだ。
安易すぎる生の決着が、
ソウルがなさすぎて吐き気がするんだ。
僕は君が死ぬことを認めない。
死ぬ資格の無い君が、あっさり楽になることを許さない。
一度でいい。
僕に認めさせてみろ。
自ら命を絶つ資格を、見せてみろ。
僕は僕に、いま死ぬ資格がないことを知っている。だから絶対に死ねないのだ。
かつて。
ともだちを殺したくて仕方がなかった。
それでもともだちがほしかった。
ともだちは刑罰だった。
代償だった。
だから、
殺すことで済むわけがなかった。
死ぬな。
死ぬな、だ。
僕に会いに来い!
◇京極夏彦の妖怪ミステリシリーズ5『絡新婦(じょろうぐも)の理(ことわり)』。シリーズ最高傑作との声も聞く本作は、takebonoさん実に夜中中読み通すほどおもろかった。売春、夜這い、フェミニズム、黒ミサ、基督教、民族伝承、あらゆる意図がまさしく糸として展開されながら。文章の構成と展開にも込み入った仕掛けがあります。よくよく、よく読み返したりもしました。
−桜の森の絡新婦。その糸に巣くうは理(ことわり)と獲物――。
とある基督教の女学校に流れた奇怪な噂――呪い。
その小さな呪いの儀式は、遂に連続殺人を引き起こした!!
黒い聖母が絞め殺すは――男。
血まみれの鑿(のみ)を振るう「目潰し魔」が殺すは――女。
2つの事件による連続殺人は、八方に張り巡らされた蜘蛛の糸として、獲物をおびき寄せ、近づく者たちを絡め取ってゆく。
堕天使は笑い、少女は飛び降りた。
死人の衣が舞い、女の腕が首をへし折った。
いけどもいけども蜘蛛の糸。
中心に蠢くは巨大な蜘蛛。
全ては絡め取られている。
「僕は真理を探究する求道者でも事件を解決する探偵でもない。犯罪を糾弾する立場にもない。僕の仕事は―――憑き物落としだ」
京極堂、「性」の呪縛と対決す――!!
桜の森に巣くう絡新婦の正体は――?!
「あなたが――蜘蛛だったのですね」
そう、
「この世には、不思議なことなど何もないのだよ」
痛快。
−桜の森の絡新婦。その糸に巣くうは理(ことわり)と獲物――。
とある基督教の女学校に流れた奇怪な噂――呪い。
その小さな呪いの儀式は、遂に連続殺人を引き起こした!!
黒い聖母が絞め殺すは――男。
血まみれの鑿(のみ)を振るう「目潰し魔」が殺すは――女。
2つの事件による連続殺人は、八方に張り巡らされた蜘蛛の糸として、獲物をおびき寄せ、近づく者たちを絡め取ってゆく。
堕天使は笑い、少女は飛び降りた。
死人の衣が舞い、女の腕が首をへし折った。
いけどもいけども蜘蛛の糸。
中心に蠢くは巨大な蜘蛛。
全ては絡め取られている。
「僕は真理を探究する求道者でも事件を解決する探偵でもない。犯罪を糾弾する立場にもない。僕の仕事は―――憑き物落としだ」
京極堂、「性」の呪縛と対決す――!!
桜の森に巣くう絡新婦の正体は――?!
「あなたが――蜘蛛だったのですね」
そう、
「この世には、不思議なことなど何もないのだよ」
痛快。
野口嘉則『鏡の法則 人生のどんな問題も解決する魔法のルール』。すすめられて読んだ。なんか、口コミで売れてるんだってさ。
全く響かずに読み終えた。
だってそんなことは当たり前なんだもの。
法則なんかにしなくてもいいことだもの。
法則なんかにしなければ、そんなにうまくいかないものなのでしょうか。
僕が恵まれているのでしょうか。
なんにせよ、こんなふうに効率化法則化するのはあまりすきではないのです。
多くの人が救われるのはそうなのかもしれないけれど。
僕には必要のない法則でした。
身のまわりに起こる全てのことを
偶然で片付けてきたのかい?
幸運と不幸ですませてきたのかい?
そんなに簡単ではないだろうが。
この世界はだから怪物なんだろ。
そんな君はだから奇跡なのだろ。
絶望の仕方も知らないんじゃ
その後に希望が生まれるわけがない
白土三平を読め、ってかんじだ。
全く響かずに読み終えた。
だってそんなことは当たり前なんだもの。
法則なんかにしなくてもいいことだもの。
法則なんかにしなければ、そんなにうまくいかないものなのでしょうか。
僕が恵まれているのでしょうか。
なんにせよ、こんなふうに効率化法則化するのはあまりすきではないのです。
多くの人が救われるのはそうなのかもしれないけれど。
僕には必要のない法則でした。
身のまわりに起こる全てのことを
偶然で片付けてきたのかい?
幸運と不幸ですませてきたのかい?
そんなに簡単ではないだろうが。
この世界はだから怪物なんだろ。
そんな君はだから奇跡なのだろ。
絶望の仕方も知らないんじゃ
その後に希望が生まれるわけがない
白土三平を読め、ってかんじだ。
白土三平『忍者武芸帳影丸伝』。
読んだった読んだった。一気に全巻読んだった。
すごいっ。壮絶。
うううっっ。涙が出る。
尊すぎる。
何のために?
たたかうのかって?
はああ。
重すぎる。
生きたくてしょうがなくなる。
ばかやろー現代人。
簡単に死ぬな。
イラつくぜ自殺。
こんな時代をじゃあどう生きるかって?
知るか!
わかりきってんだろ幸せ者が!
影丸よ、あなたの生き様、震えたぜ。
次『カムイ伝』読も。
読んだった読んだった。一気に全巻読んだった。
すごいっ。壮絶。
うううっっ。涙が出る。
尊すぎる。
何のために?
たたかうのかって?
はああ。
重すぎる。
生きたくてしょうがなくなる。
ばかやろー現代人。
簡単に死ぬな。
イラつくぜ自殺。
こんな時代をじゃあどう生きるかって?
知るか!
わかりきってんだろ幸せ者が!
影丸よ、あなたの生き様、震えたぜ。
次『カムイ伝』読も。
◇Yoshi『Deep Love―アユの物語 完全版』。
あのカラフルダーク少女Aも、あの中学生の子も、これを読んだと言っていた。ケータイ小説から口コミで広まったというのは聞いてたけど、なるほど横書きだ。これが渋谷の街を席捲し、現代の少年少女に涙させた小説だそうだ。
読み終えて、これはなんなのだろうかと思った。
うまく言葉にできないけど、これが、いわゆる渋谷の少女の物語?
悲しくなるのは、愚かすぎるから。
腹が立つくらい、気にいらなすぎるから。
小説ファンが言うみたいに、文章がひどいとかストーリーがひどいとか、それ全部その通りだけど、僕はあえて言うつもりはない。実際に、これ読んで感動と共感が生まれたということも、やたらにわかる気がするのだ。
目眩はしたけど吐き気はしなかったとでもいうか。
現実を見た思い。
逆に子供たちが愛しくなるのかもしれない。
こんな小説をケータイで読んで感動するような世界観及び世界に、今の子たちは取り囲まれているんだなあと。
時代だとか。金だとか。愛だとか。
わかってんじゃん。わかってんなら闘えよ。
それが抵抗だとか思ってるわけ?
それが純粋だとか思ってるわけ?
結局幸福計っておきながら。
不幸に苛立ってんじゃないか。
ずるいよ。子ども。
結局飲み込まれるんだろ?
ずるいよ。
第2第3…のアユへ。
そんなふざけた死に方するくらいなら。
僕と一緒に闘っておくれよ。
この世界と闘おうよ。
takebonoさん、待ってるからさ。
あのカラフルダーク少女Aも、あの中学生の子も、これを読んだと言っていた。ケータイ小説から口コミで広まったというのは聞いてたけど、なるほど横書きだ。これが渋谷の街を席捲し、現代の少年少女に涙させた小説だそうだ。
読み終えて、これはなんなのだろうかと思った。
うまく言葉にできないけど、これが、いわゆる渋谷の少女の物語?
悲しくなるのは、愚かすぎるから。
腹が立つくらい、気にいらなすぎるから。
小説ファンが言うみたいに、文章がひどいとかストーリーがひどいとか、それ全部その通りだけど、僕はあえて言うつもりはない。実際に、これ読んで感動と共感が生まれたということも、やたらにわかる気がするのだ。
目眩はしたけど吐き気はしなかったとでもいうか。
現実を見た思い。
逆に子供たちが愛しくなるのかもしれない。
こんな小説をケータイで読んで感動するような世界観及び世界に、今の子たちは取り囲まれているんだなあと。
時代だとか。金だとか。愛だとか。
わかってんじゃん。わかってんなら闘えよ。
それが抵抗だとか思ってるわけ?
それが純粋だとか思ってるわけ?
結局幸福計っておきながら。
不幸に苛立ってんじゃないか。
ずるいよ。子ども。
結局飲み込まれるんだろ?
ずるいよ。
第2第3…のアユへ。
そんなふざけた死に方するくらいなら。
僕と一緒に闘っておくれよ。
この世界と闘おうよ。
takebonoさん、待ってるからさ。
◇夢野久作『ドグラ・マグラ』。
マドロミ天才画伯KT氏から借りて読んでたけど、ホントにようやっと読み終えた。噂以上に読むのがきつい本でした。論文や漢文まで出てくるし。そもそもキチガイやら精神病の話だしね。さすがにイカれた話でした。訳がわからぬ上にゾッとするしやっぱり訳がわからぬし。確かに頭がおかしくなるやもね。「キチガイ地獄外道祭文」は気に入った。そーれ、ブゥウゥゥーーーーーーーンンン…スチャラカポコチャカ…
−昭和十年一月、書下し自費出版。
「これを書くために生きてきた」
著書自らがそう語る狂人の推理小説。異常な状況設定の中に著者の思想、知識を集大成する。“日本一幻魔怪奇の本格探偵小説”とうたわれる。
これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる一大奇書。
胎児よ
胎児よ
何故踊る
母親の心がわかって
おぞましいのか
キチガイだろうか。キチガイだ。キチガイだ。アハハははっハハハハハはははハハハハハハハハhahahahahahahahaha
ひひひ…
マドロミ天才画伯KT氏から借りて読んでたけど、ホントにようやっと読み終えた。噂以上に読むのがきつい本でした。論文や漢文まで出てくるし。そもそもキチガイやら精神病の話だしね。さすがにイカれた話でした。訳がわからぬ上にゾッとするしやっぱり訳がわからぬし。確かに頭がおかしくなるやもね。「キチガイ地獄外道祭文」は気に入った。そーれ、ブゥウゥゥーーーーーーーンンン…スチャラカポコチャカ…
−昭和十年一月、書下し自費出版。
「これを書くために生きてきた」
著書自らがそう語る狂人の推理小説。異常な状況設定の中に著者の思想、知識を集大成する。“日本一幻魔怪奇の本格探偵小説”とうたわれる。
これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる一大奇書。
胎児よ
胎児よ
何故踊る
母親の心がわかって
おぞましいのか
キチガイだろうか。キチガイだ。キチガイだ。アハハははっハハハハハはははハハハハハハハハhahahahahahahahaha
ひひひ…
無知大人の一人takebono
2006年10月24日 読書
次から次へ。
出版するたび。
読んだ気がする。
気付けば何十冊も。
読んじまう。
無知な僕にゃ。
天才に見えるから。
最低限のことを知らなければ。
ニュースは全て念仏に聞こえる。
少なくとも。
一般メディアの話題についていけるくらいは。
無知だもんで。
出版するたび。
読んだ気がする。
気付けば何十冊も。
読んじまう。
無知な僕にゃ。
天才に見えるから。
最低限のことを知らなければ。
ニュースは全て念仏に聞こえる。
少なくとも。
一般メディアの話題についていけるくらいは。
無知だもんで。
実際、夢で会っていたりする。
僕の浅い睡眠下ではとにかくリアルに知人が登場する。
夢と現実の区別がつかないってやばいことなのか。
こないだなんか、夢の中で「あぁ夢から覚めたわこっちが現実かあ!」なんて言ってて、夢の中で眠りについたところで、現実の目が覚めた。2つの世界のスイッチが夢でつながってるかのような感覚がしたのだ。
そして僕の夢はくだらないんだよね。
◇村上春樹と糸井重里のコラボショートショート『夢で会いましょう』。
ボーっとしてて、脳が動くか動かないかの中間くらいのときにだけしかこの本は読めなかったし、それがまた良かった。一ヶ月くらいかけて読み終わったとき安らかな気持ちになった。
「ア」〜「ワ」までのカタカナワードを片っ端からショート化エッセイ化されてて。
こうゆうの僕もやってみたいな。
つうかこうゆうのは何人かでコラボやると面白いんだ。
「ア」…アントニオ・ロッカ
「イ」…イノキカンジ
「ウ」…ウラカン・ラナ
「エ」…Xライダー
「オ」…オジャマンベ
〜〜〜
「タ」…takebono
〜〜〜
「ワ」…ワーッッッ!!!
あーやっぱめんどくせ。
TAさん家で野球ゲームやったらカープがボロ負け。黒田見殺し。キィ〜ッ。
政治経済を勉強しなくちゃ。
もう寝なきゃ。
みなさん、夢で会いましょう。
僕の浅い睡眠下ではとにかくリアルに知人が登場する。
夢と現実の区別がつかないってやばいことなのか。
こないだなんか、夢の中で「あぁ夢から覚めたわこっちが現実かあ!」なんて言ってて、夢の中で眠りについたところで、現実の目が覚めた。2つの世界のスイッチが夢でつながってるかのような感覚がしたのだ。
そして僕の夢はくだらないんだよね。
◇村上春樹と糸井重里のコラボショートショート『夢で会いましょう』。
ボーっとしてて、脳が動くか動かないかの中間くらいのときにだけしかこの本は読めなかったし、それがまた良かった。一ヶ月くらいかけて読み終わったとき安らかな気持ちになった。
「ア」〜「ワ」までのカタカナワードを片っ端からショート化エッセイ化されてて。
こうゆうの僕もやってみたいな。
つうかこうゆうのは何人かでコラボやると面白いんだ。
「ア」…アントニオ・ロッカ
「イ」…イノキカンジ
「ウ」…ウラカン・ラナ
「エ」…Xライダー
「オ」…オジャマンベ
〜〜〜
「タ」…takebono
〜〜〜
「ワ」…ワーッッッ!!!
あーやっぱめんどくせ。
TAさん家で野球ゲームやったらカープがボロ負け。黒田見殺し。キィ〜ッ。
政治経済を勉強しなくちゃ。
もう寝なきゃ。
みなさん、夢で会いましょう。
◇森博嗣の『スカイ・クロラ』。ふぅん、見事です。静寂の切れ味。
−戦闘機乗りは空を飛ぶ。この右手で人を殺すために僕は空を飛ぶ。
僕はまだ子供だから、殺し合う相手を知らない。
僕たちは子供だから、殺し合うために用意されたゴミ山のような理由たちを知らない。
僕の乗る機体の旋回や。
右手トリガーの照準や。
360度の成層圏は。
僕らが永遠を生きるための世界だ。
自分は何者なのか。それは誰も知らなくていい神話。
無限の戦場を永遠に生きる子供(キルドレ)たちの物語。
戦争を知らない大人たちに捧げよう。
彼らの過ちは、三つある。
子供たちが自分たちから生まれたと信じている。
子供たちより多くを知っていると思い込んでいる。
子供たちがいずれ自分たちと同じものになると願っている。
それら妄想の馬鹿馬鹿しさといったら、
戦争よりも悲惨なのだから。
読み終えて、僕は窓を開け空を見上げた。
どこまでも広いね空は。
いまは僕の戦場は、この空の真下だ。
−戦闘機乗りは空を飛ぶ。この右手で人を殺すために僕は空を飛ぶ。
僕はまだ子供だから、殺し合う相手を知らない。
僕たちは子供だから、殺し合うために用意されたゴミ山のような理由たちを知らない。
僕の乗る機体の旋回や。
右手トリガーの照準や。
360度の成層圏は。
僕らが永遠を生きるための世界だ。
自分は何者なのか。それは誰も知らなくていい神話。
無限の戦場を永遠に生きる子供(キルドレ)たちの物語。
戦争を知らない大人たちに捧げよう。
彼らの過ちは、三つある。
子供たちが自分たちから生まれたと信じている。
子供たちより多くを知っていると思い込んでいる。
子供たちがいずれ自分たちと同じものになると願っている。
それら妄想の馬鹿馬鹿しさといったら、
戦争よりも悲惨なのだから。
読み終えて、僕は窓を開け空を見上げた。
どこまでも広いね空は。
いまは僕の戦場は、この空の真下だ。
◇舞城王太郎『世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS』。
どうしてこうもおもしろくイカれ気味れるのか。舞城は天才だなあ。最後は少し感動もした。
−僕とルンババは、お家もお隣の親友だった。僕らがルンババの姉・涼ちゃんを失ったあの日から、ルンババは密室殺人を解決する名探偵になった。
東京への修学旅行の最中で、あの奇妙な姉妹と知り合ってから、密室と闘う僕らの冒険は始まった。青春ティーンエイジに待ち受ける数々の密室殺人事件に、イカれた僕らは立ち向かう。
青春はエンターテイメントそして密室。
かつて僕も密室殺人トリックを考えたことがあった。論理的に破綻しててもいいからセンセーショナルなやつを狙って。まあ破綻以前の破綻をしながら挫折して。
密室殺人トリックってもっとうまいことやるもんなんだよな。頭もよくないとできんのだろなあ。
どうしてこうもおもしろくイカれ気味れるのか。舞城は天才だなあ。最後は少し感動もした。
−僕とルンババは、お家もお隣の親友だった。僕らがルンババの姉・涼ちゃんを失ったあの日から、ルンババは密室殺人を解決する名探偵になった。
東京への修学旅行の最中で、あの奇妙な姉妹と知り合ってから、密室と闘う僕らの冒険は始まった。青春ティーンエイジに待ち受ける数々の密室殺人事件に、イカれた僕らは立ち向かう。
青春はエンターテイメントそして密室。
かつて僕も密室殺人トリックを考えたことがあった。論理的に破綻しててもいいからセンセーショナルなやつを狙って。まあ破綻以前の破綻をしながら挫折して。
密室殺人トリックってもっとうまいことやるもんなんだよな。頭もよくないとできんのだろなあ。
◇恩田陸のデビュー作『六番目の小夜子』。
はい、おもしろかったっ。一気に引き込み一気に読ませるリズムはさすが。謎が謎を呼びつつ、恩田流ノスタルジックマジックもさながら。
−ある高校に、十数年間にわたって密かに受け継がれているゲームがあった。3年に一度、密かに選ばれた「サヨコ」と呼ばれる生徒が、その年を通じ、誰にも正体を知られることなくある任務を果たすというルールである。
今年は「六番目のサヨコ」が現れる年。その新学期、美しき転校生がその高校にやってきた。彼女の名も「サヨコ」といった。
青春が生み出す様々な群像劇。学校という閉じられた世界のあの一瞬。二度と戻ることのない永遠の最中に「サヨコ」は存在する。光と闇を焼き付けた、恩田陸伝説のデビュー作。
ノスタルジーの魔術師・恩田が仕掛けた罠にはまるtakebono。
僕は高校の頃これでも生徒会をやっていたもんだから、よくわかる気がするな。等身大というやつです。
夏休みに誰もいない校舎に集った、あの暑い生徒会室。
使えるもんが何か無いかと汗を拭いながら探し回った倉庫。
夕焼け空を延々と眺めていた屋上。
暗くなるまで語り合った放課後。
数えられるものでもなく、計れるものでもなく、比べるものでもなかった、あの時間たち。なんだかんだ言って、あれはなによりも僕らしかった。
思い出すたびによみがえる僕のブルーダーク。
校内の、様々な場所に置いてきた僕の遺伝子「ずぶねリズム」はもう破棄されてしまっただろうか。
はい、おもしろかったっ。一気に引き込み一気に読ませるリズムはさすが。謎が謎を呼びつつ、恩田流ノスタルジックマジックもさながら。
−ある高校に、十数年間にわたって密かに受け継がれているゲームがあった。3年に一度、密かに選ばれた「サヨコ」と呼ばれる生徒が、その年を通じ、誰にも正体を知られることなくある任務を果たすというルールである。
今年は「六番目のサヨコ」が現れる年。その新学期、美しき転校生がその高校にやってきた。彼女の名も「サヨコ」といった。
青春が生み出す様々な群像劇。学校という閉じられた世界のあの一瞬。二度と戻ることのない永遠の最中に「サヨコ」は存在する。光と闇を焼き付けた、恩田陸伝説のデビュー作。
ノスタルジーの魔術師・恩田が仕掛けた罠にはまるtakebono。
僕は高校の頃これでも生徒会をやっていたもんだから、よくわかる気がするな。等身大というやつです。
夏休みに誰もいない校舎に集った、あの暑い生徒会室。
使えるもんが何か無いかと汗を拭いながら探し回った倉庫。
夕焼け空を延々と眺めていた屋上。
暗くなるまで語り合った放課後。
数えられるものでもなく、計れるものでもなく、比べるものでもなかった、あの時間たち。なんだかんだ言って、あれはなによりも僕らしかった。
思い出すたびによみがえる僕のブルーダーク。
校内の、様々な場所に置いてきた僕の遺伝子「ずぶねリズム」はもう破棄されてしまっただろうか。
takebonosociologie
2006年10月3日 読書
内田隆三『社会学を学ぶ』。
相変わらず、手に取ってしまった本は、よほどひどくなければ最後まで読む。なぜこんな本を手に取ったのか。
大学に入学したときのこと。学部の新入生歓迎会みたいなイベントで、隣にいた社会学部の4年生の方に唐突に聞いたことがある。「社会学はおもしろいですか?」と。
おもしろいよ、とその人は答えた。ほうっと思った。
「なんでおもしろいかっていうとね――」
その後なぜか聞きそびれたのだけど、そんな記憶が残ってるほどその人は印象的だった。
それ以来、社会学については、何もわかってもいないくせに僕は語っていた。
「おもしろいよ、なんでかっていうとね――」
考える枠組を考える学問、なのだと思う。それもきわめてこう、僕ら寄りでの枠組だ。
社会学的なものを経て初めて、僕は経済学なり法学なりの必要性を感じたわけで。
この社会に生きていることに対して、少し謙虚にさせてくれたわけでもある。
思えば僕は「社会」を恐れていたのだ。
読んでて、そんなことを思い出したり。
相変わらず、手に取ってしまった本は、よほどひどくなければ最後まで読む。なぜこんな本を手に取ったのか。
大学に入学したときのこと。学部の新入生歓迎会みたいなイベントで、隣にいた社会学部の4年生の方に唐突に聞いたことがある。「社会学はおもしろいですか?」と。
おもしろいよ、とその人は答えた。ほうっと思った。
「なんでおもしろいかっていうとね――」
その後なぜか聞きそびれたのだけど、そんな記憶が残ってるほどその人は印象的だった。
それ以来、社会学については、何もわかってもいないくせに僕は語っていた。
「おもしろいよ、なんでかっていうとね――」
考える枠組を考える学問、なのだと思う。それもきわめてこう、僕ら寄りでの枠組だ。
社会学的なものを経て初めて、僕は経済学なり法学なりの必要性を感じたわけで。
この社会に生きていることに対して、少し謙虚にさせてくれたわけでもある。
思えば僕は「社会」を恐れていたのだ。
読んでて、そんなことを思い出したり。