◇ヘミングウェイ『武器よさらば』
ヘミングウェイなんか読んでみたり。

−第一次世界大戦下、アメリカ人青年フレドリックは、イタリア軍に従軍し、砲撃で重傷を負う。病院で再会したイギリス人看護師キャサリンとの恋は、戦況の悪化と共に動き出した。やがて軍を脱走したフレドリックは、キャサリンを連れてスイスに脱出する。

「敗北って、いったい何です? 家に帰れることじゃありませんか。

…戦争ほどたちの悪いものはありませんよ。われわれ、搬送車で働いている者には、こいつがどんなに性悪かわからないんです。それがわかったときには、もうみんな頭がおかしくなっているので、終わらせることなんざできないでしょう。戦争の性悪さがわからずじまいで終わるやつもいます。将校たちをひたすら恐れているやつもいます。戦争を支えるのは、そういうやつらなんですよね。

どちらか一方が戦闘を止めなきゃ。おれたちが止めて、どこが悪いんです?」


戦争はやだなあ。
ウェポンさいなら。
◇三島由紀夫『仮面の告白』
読み終える。すごい。これは。

三島は内面の怪物にこんな風に立ち向かったんだな。その様がこんなに官能的っつうかグエッッなのは、仮面を被ったからなんだな。
ここでその仮面を通じて告白してるのだ。きっと。
まあ、ただすごいとしか。

−「私は無益で精巧な一個の逆説だ。この小説はその生理学的証明である」

近江の脇毛に玩具エレクチオ勃起とか。
青空の下の「悪習」砂浜オナニーで波が汚濁と精虫をさらい、プランクトンと混ざり合い、生命の海へ運びさられるとか。

人はどこまで何かをさらけ出せば、仮面を脱いだことになるのだろう。
◇夢枕獏『餓狼伝』

一気に?巻まで読んだった。
いやすごい。素ン晴らしい。

長田と梶原のプロレスリングでの魂のセメント。ほんとに泣ける。
長田はつくづくプロレスラー。
カリスマどもの中でも一番すきだな。

−自分には、この、肉体しかない。
自分の持ってるものは、世の中の人間より劣るものばかりだった。
英語もだめ、数学もだめ、人望もない。なあなあで他人とうまくやってゆくこともできない性格だった。その自分が唯一持っているものが、肉体であった。
…プロレスに――いや、自分の肉体にすがるようにして生きてきたのだ。…プロレスがあったから、ここまで道を踏み外さずにやってこれたのだ。
これしかないのだ。
しかも、今しかないのだ。
本当の自分を、今、試さねば、いったいいつ試すというのか。
「やってやる…」


はああ。がんばれ長田。
◇綾辻行人『時計館の殺人』

綾辻館シリーズ2冊目読んだり。
これまた壮大なトリックを使うね。ありえねんじゃね。いやありうるかな。うーむ。
つうか殺人がすごいね。荒技であっさり殺すのが。計画は綿密なのに犯行自体がこんなアバウトだったら下手したら逆襲食って殺されるんじゃないか犯人。実際逆襲食ってやばかったとこもあったし。
ひょっとしたら犯人は馬鹿というより馬鹿力なんじゃないか。

−森にそびえ建つ「時計館」。10年前ここで1人の少女が死んだ。
館を訪れた9人。鳴りやまぬ鐘。針のない時計塔。
狂気の無差別殺人が、開かない扉の内側で始まった。
◇綾辻行人『十角館の殺人』

綾辻行人なんか読んでみたり。
なるほどこれが伝説の大どんでん返しデビューかー。なるほどなるほどー。見事見事じゃー。

−凄惨な四重殺人の起きた孤島に、ミステリ研究会の7人は訪れた。しかし、島に建つ「十角館」で彼らを待ち受けていたのは恐るべき連続殺人の罠だった。犯人は誰だ?生き残るのは誰だ?
驚愕の真実に誰もが激震する。
おげっ!?
なるほどこれはすごいすごい。やられた。
◇志賀直哉『小僧の神様・城の崎にて』他

小説神・志賀を読む。
『小僧の神様』は変な話だった。
『城の崎にて』ってこンな話だッたんか。

旅行でもせんと日本文学の古典もあまり読みませんで。

格差螺旋

2007年8月8日 読書
伊藤守・山田昌弘『格差社会スパイラル コミュニケーションで二極化する仕事、家族』

よくわかった。
格差下流本。キッチリ。
新しいことはなんも言ってない。

ただコミュニケーション能力がカギなんだってさ。
それはそうだなあと思った。
◇舞城王太郎『スクールアタック・シンドローム』

−暴力は伝染する。 3人の少年による学校襲撃事件は633人の死者を出して終焉したかに見えた。
侵入者の耳を食いちぎった俺は、殺害計画ノートを書いてた崇史
に会いに学校へ行く。
暴力の前に倒れていった人々を思うとき、一つのシンドロームにも終わりのときがくる。

とんでもねえ本。すごすぎ。
何読んでるの?なんて聞かれませんようにと祈りながら仕事中に読み終えた。
とても素敵。

やられはしない

2007年8月1日 読書
藤井厳喜『総下流時代 All the Lower People』

格差下流本。がっつり。
危機意識を煽っているのか。煽られているのか。
どんだけそれは危機なのか。煽られる必要はどんだけあるのか。
フラット化。二局化。世界は日本だけじゃなく変わってゆく。その流れの中で誰がどうすればよいのか。
何もかもわからないよね。

「働く者の現実」は、今後ますます深刻になる。
こんな形でしか今後この国の経済はやっていけないのか。
こんな形でしか将来をまなざすことができないのか。

わかったホセもういい、ってかんじですね。
◇舞城王太郎『みんな元気。』

−姉が眠りながら浮かんでいた。「透明魔神」のせいですか?
竜巻が調布を襲う。妹の朝ちゃんは、空飛ぶ一家に連れさられた。
愛の選択。家族の交換。
何があっても、みんな元気。

うーん舞城は読んでて楽しい。

桜のtakebono

2007年7月20日 読書
こうの史代『夕凪の街桜の国』

昨日の映画の原作マンガ。早速読んでみた。
映画は原作に殆ど忠実だったんだな。

おもしろかった。というか、久しぶりによいマンガを見た。原作の方が良いかも。
一つ一つの台詞が、かなり染みた。

こうゆう気持ちで読み終えて閉じれるときっていっつも良いマンガだったよなあと久しぶりにタメイキ。
皆様一読。
◇村田喜代子『12のトイレ』

−狭くても宇宙とつながっている場所、世の中のことが全部詰っている場所、それはトイレ。四六時中トイレのことが気にかかってしまう少女の成長の過程をファンタジックに描く連作。

国語のテキストの問題文に使用されてる作品なんかは、テキスト上は結局抜粋だから、続きが気になって読んでみたくなるということがたまにあるのだ。
そんな風に続きを知りたがった少年Nに頼まれて、takebono先生この本借りて読んでみた。
心温まる連続短編集で、あんまりおもしろくはなかった。
いざ少年Nに読ませようと持ってったら、つまらんやっぱり読まんわと放り投げられた。

国語が面白くなくなっちゃう要因の一つに、教材の酷さというのはあると思う。
とりわけ「小説文」や「随筆文」で読解やら文脈把握やらやるのだけど、とにかく話が面白くなくて。その上、無理矢理作られた設問で主人公の心情まで解答させられるのだからたまらない。
舞城とか。夢枕獏の『餓狼伝』とか教材にすりゃいいんだ。すっげーおもしれーのにな。

むしろ文盲を大量生産するために存在する教科なのだよね。今日の国語ってやつはさ。
そうだとしても、受験は受験でやりゃいいんだ。読書から離れさせるたあない。そう思う。
◇道尾秀介『片眼の猿 One‐eyed monkeys』

−ある所に、片眼の猿たちだけが暮らしている国があった。その国で初めて両眼の赤ん坊が生まれたが、成長したその猿は自ら片眼を潰し、片眼となって生涯を過ごしたという。

探偵・三梨の特殊能力は盗聴。その盗聴仕事中に起きた殺人事件は、三梨を事件に巻き込んでゆく。
片眼の猿たちの闘いは、小さなものを変えた。

ケータイ発信連載だからだと思うんけど文章的にはあっさり。だけど良い話だった。
劣等感とかコンプレックスとか、比較とバイアスの産物は、強大だということも知ってるけど、同時に立ち向かえるものであるということも知っている。絶対的圧倒的なハンディを背負っていても、幸福に生きれるということを知っている。
だから僕は、何回だって揺らぐけど、もう僕自身は恐れていないんだ。
◇山田風太郎『外道忍法帳』
−天正使節団がローマ法王より授かったキリシタンの隠し財宝。老中・松平伊豆守は天草忍者十五人を長崎へと送り込む。革命家・由比正雪も手飼いの甲賀忍者十五人を放つ。迎え撃つは大友忍法を身につけた十五人のキリシタンくの一。その秘所に隠された15個の鈴こそが財宝の在り処への鍵。三つ巴総勢45人の忍者バトル。壮絶な死闘の幕はいまあがった。

山風今回はすごいですよ。三つ巴の忍者軍団死闘。甲賀忍者15人VS天草忍者15人VSキリシタン九の一15人。総勢45人の忍法バトル。でもハッキリ言って爆笑忍法合戦。マジかこれマジか。

しかしあっさり殺してくなー。忍法出さないで終わったやつまでいるやんけ。45人はさすがに多すぎたかね。
オチは最初からわかったぞ。
◇万城目学『鴨川ホルモー』

−青龍、白虎、朱雀、玄武。京都にある東西南北4つの大学サークル合同で開催される「ホルモー」とは、都に巣くう魑魅魍魎どもを駆使して行う大学間の対抗戦。
ひょんなことから京大青龍会に入ってしまった俺は、500回目の『鴨川ホルモー』に参戦する。

京の都を群雄割拠。ブルース共が青春闊歩。誰の心も独立独歩。伝説神話世迷言。信じぬくなら真実一路。1歩進んで2歩下がる。どうか勇気をおくれやす。ホルモーホルモー鴨川ホルモー。

なかなかおもろかった。娯楽青春小説。まあまあ。

731

2007年7月9日 読書
森村誠一『悪魔の飽食 新版―日本細菌戦部隊の恐怖の実像!』

読んでみた。
プロパガンダとか騒がれて。左右の衝突もうよくて。真相は結局闇でも。想像しないってことはない。この地球上にいくらでも悪魔はいるもんね。

旧満州第七三一部隊。
旧日本軍の細菌戦部隊が行った、戦慄の人体・生体実験。
実験材料は、「マルタ」。中国人やロシア人。
人間を、生きたまま解体したり、燃やしたり、細菌や毒を注射したり、臓器を全部取ったり、兵器の実験に使ったり。まさしく人間モルモット。

これを狂気と呼べたなら、その方がまだいいような気がする。
悪魔は本当は狂ってなんかいないでしょ。
◇舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』

舞城の、恋愛小説(?)。
もう言葉にならないな、これは。
イカれてなんかないんだな。
愛だもんな。

愛は祈りだ。僕は祈る。
「僕の好きな人たちに皆そろって幸せになってほしい。それぞれの願いを叶えてほしい。温かい場所で、あるいは涼しい場所で、とにかく心地よい場所で、それぞれの好きな人たちに囲まれて楽しく暮らしてほしい。最大の幸福が空から皆に降り注ぐといい。僕は世界中の全ての人たちが好きだ」

すごい小説。
「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」もかなりきてる。
寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』

寺山修司なんか読んでみる。
こいつはすげえや。
ギャンブルやら自殺学やら。
とんでもなくソウルフルに生きたんだな彼は
想像力の無い人生なんて、面白いわけがないのだと、それで本さえ捨てるのかな。

これ誰に勧めようかな。
感想は書かない方がよいと思った。
辻よしなり『プロレス裏実況』
辻アナの熱闘プロレス・アンソロジー。

僕も小さい頃よく「ワールドプロレスリング」を観てた。天龍は恐かったし、ライガーがすきだったし、橋本はかっこよかった。
時代が混沌としボーダーレスな世界となっても、総合格闘技がいくら台頭しようとも、リングの上で輝くものは、リアルでもなくショーでもなく、夢であってほしいと思う。シンプルに震えるソウルが願いだ。

プロレスのベクトル。
闘いのベクトル。

辻アナの叫びが聞こえてくる。
「何が起こってもおかしくない状況であります!!」

この混沌とした世にあって、プロレスは最強のドリーム。
今度ひさしぶりにtakenatu氏とプロレスを観に行こうと思った。
◇不知火京介『マッチメイク』

−新大阪プロレスの総帥ダリウス佐々木が、大観衆見つめる試合中のリング上で急死した。額の傷からは蛇毒が検出された。新人レスラー山田は同期の本庄と殺人事件の謎を追う。そして第2の殺人が…。
プロレスに全てを懸けた者が、プロレスを許せずに起きた悲劇。
マッチメイク。ケーフェイ。アングル。
プロレスの宿命は。プロレスの存在意義は。

感動のプロレスミステリーノベル。

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