松永郁子『カープ-苦難を乗りこえた男たちの軌跡』

読み終えたと同時に終戦。最後の最後に力尽く。CSならず無念の4位。
市民球場最後のドラマは、日本シリーズで締めくくられることなく幕を閉じた。
カープはミラクルチーム。
何度も歴史から消えかけ、そのたびによみがえってきた不死鳥のチーム。
奇跡の軌跡をつないでゆく。
来年来年。
ほんとに今年は大健闘。この戦力で戦い抜いたのは誇り。
おつかれ赤ヘル軍団。
今井伸他:著 唐鎌直義:編『生活保護(「どうする!あなたの社会保障」シリーズ4)』

生活保護という公共の貧困者救済システムのことを、多くの人がそれがどうゆうものなのかほとんど知らない。
自分が生活保護を受けることが可能であることを知らない。
自分が生活保護を受けるべき状況にあることを知らない。
ひっそりと存在するこの国の最後のセーフティネットは、あまりにもその仕組みを知られていない。それを必要とする人にも。それを必要としない人にも。
近年増大する生活保護費の抑制のために、政府が、生活保護を受けることができる人にそれをなるべく受けさせないようにしてること。福祉事務所は、申請に来た人を適当な理由をつけて窓口で追い返したりしていること。
手続きの段階で、個人の尊厳や自立心向上心を蔑ろにするものがあること。
ケースワーカーの制度が矛盾をはらんでるものであること。
日本の生活保護とは、ヨーロッパのような寛容精神からの社会復帰制度とゆうものではなく、二度と這い上がれない最底辺者へ渋々吐き出す施しのようなものだと感じた。

そもそも脆弱な社会保障基盤が招くのが、生活保護につきまとうネガティヴなイメージそのものであり、弱いものたちがさらに弱いものを叩こうとするのは、生活保護というシステムが、最弱者に向けられるまなざし以外に認識されていないことからきてるのだと。
これからの時代では、権利を知らないものは不幸であると僕は考えるから、まずはその最低ラインの生存権のことだと思って読んだ。わかりやすくてとてもよい本だったよ。

生活保護は権利。
きわめて受けにくくさせられてる権利。餓死や自殺も起こってしまった。
一方で、基準を満たせば誰もが受けることができる無差別平等な権利。福祉事務所は平気で「あなたは受けれないよ」と嘘をつくから、ちゃんと知識のある人に相談しなければならないこと。

家族に丸投げしてきた日本型福祉の崩壊。企業に丸投げしてきた日本型雇用の崩壊。生活保護基準を下回るワープア賃金やプア年金の必然性。そもそもツッコミどころだらけの現実そのものに前提以前の大矛盾があるのだけれど、そこにふてくされて生活保護を指差しちゃうことは、思うツボの愚かさだとも思うから。
少なくとも誰もが最低限を救われるように考えなきゃならないんだろう。そのためにあるものを、そのために考えることなんだろう。

僕や僕の友達がいつか生活保護を受けるかもしれない。これからはホントにそうゆうことありうる時代になってくだろう。そのときになって立ちすくまないように。知っておくべきこの国の最底辺のセーフティネットのお話です。
◇山崎豊子『沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)』

-「会社が、一人の人間をここまで追いつめるとは…」
日本を代表する航空会社・国民航空の労組委員長に抜擢された主人公・恩地は、腐敗する会社に燦然と立ち向かった。凄絶な団交・ストの攻防を繰り広げた末に、恩地は海外僻地勤務命令を下される。行き先は、中近東・カラチ!! 灼熱の大地への流刑生活が始まった。
企業という“猛獣”に、不屈の戦いを挑む。現代を抉り、人間の真実を問う、今世紀最後の傑作。



すごい展開に爆読み。
恩地ーーー!!
◇東野圭吾『容疑者Xの献身』

-愛した人を守るため、数学だけが生きがいだった男が仕掛けた完全犯罪。
この世に存在することさえ知らなかった、その純粋なる愛は、運命の数式として導かれた。


もはや推理小説ではなく。
このせつなさが東野らしい。
トリックは途中でわかっちゃったけどでもすてき。


◇川端裕人『リスクテイカー』

-男たちが、国際為替市場に仕掛けた3日間戦争。ただひとつの勝ちをただひとつの価値で手に入れるために、彼らはリスクテイカーとなった。いま、奇跡のディールが始まる。ウオール街は静かに門を開く。金が世界に融けてゆく。

さあ、マネーを稼ごう
他の連中が百回生きたって稼げないような額を
それがぼくらの価値だとしたら、ぼくらは世界で一番価値のある人間になる

ぼくらよりも価値があるものはといえば、それはマネーそのものだけだ



面白かった。マネー経済はただすごいと思った。経済を超えた経済なんやな。


読書解禁。
いきなし角田光代『これからはあるくのだ』

角田光代のエッセイ。
これでいいのだ、ってかんじの。

そうなんだよね。
これからはあるくのだ。
後先考えてるのか、ゆで先生ー。

だが、うおおお!!

アチッーッ!!

2008年6月16日 読書
ッッテェェリィィーッマァァーーン!!!

ヤバ経

2008年5月8日 読書
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー (著), 望月衛 (翻訳) 『ヤバい経済学増補改訂版』

おもろかった。
無知だから成り立っている均衡や構造。
愚かだから成り立っている均衡や構造。
くだらねーものに恐怖したり、どーでもいいことに執着したり、合理的とは程遠いしょーもねー平均値みたいに秩序だったものが、実際しょーもねーインセンティヴってやつで。合理的経済モデルの一部なんだな。
人が何かを欲っすること。その手段方法行為の流れ。
そんなものに一喜一憂しなければならないことのほうがヤバい気もして。
裏側なのかさえわからないものを見ても、世の中なんて一向に見えてこない。

せーんそっ

2008年4月30日 読書
阿部浩己,森巣博,鵜飼哲『戦争の克服』

著者3人の座談。
戦争の克服は無理っしょ、と誰もが思うんだろうが、それでも今シーズンの広島カープは優勝へ向かって突っ走るのに震え。
カントの平和は人類の限界を見定めてリアルな国連。
リヴァイアサンアメリカ。
国際法というものはどこまで力を持ちうるんだろう。
まあ矛盾とねじれと歪みの中、やっとるわけです。

「戦争だけはごめんだー!」(byロック)

アジアのtakebono

2008年4月28日 読書
角田光代『恋するように旅をして』

角田さんのアジア放浪記。

ああちくしょう。
アジアに行きたいよー。

−まるで熱烈に恋をするようにアジアにひかれて、時間があるとすぐに、アジアのどこかの国へ向かうようなことを、ずいぶん前からくりかえしている。同じ場所へいくよりは、見知らぬ場所へ向かう。
どこへいきたいのか? いきたいところなんてない。このバスがどこへ行くのか知りたいだけだ。

バスがどこへ行くのか私は知らない。けれど私はかつてのように絶望しない。不安にすっぽりと覆われて小さく震えることをしない。なぜなら私はすでに知っているのだ。私たちはどこかへいき続けなければならないことを。暴力バスに揺られボートにしがみつき小型飛行機でうなだれながら。 快適な乗りものも、そうでないものも、そのほとんどを自ら選べずに、けれど誰かに乗せられるのではなく自分の足で乗り込んで、どこかへ向かわなくてはいけないのだ。それがどこかわからないまま。いきたいところなんかどこにもなくても。
◇奥田英朗『真夜中のマーチ』

奥田英朗ってこんなカラーの作家だったのか。バカなイカれかんじがおもしろいかも。

−ヨコケン、ミタゾウ、クロチェ。生まれも育ちも性格も、まったく異なる3人がひょんなことで出会い、10億円強奪完全犯罪計画を目論んだ。
ヤクザと中国マフィアを巻き込んで、繰り広げられる攻防戦。ちょっとバカで切なく手に汗握る。
何を求めて何処へ行く。
真夜中のマーチが響き渡り、闇を行進するのが人生よ。

貧核

2008年4月18日 読書
藤原正彦『国家の品格』

こんな本だったのか。
言いたいことはわかった。
予想以上に大衆的だった。

残念なのは、たぶんあらゆる都合良い解釈で論に利用されるんだろうなということ。残念。
武士道などに帰結するのもわかりやすくて残念。
残念ながらウンザリ。
『働けません。―「働けません。」6つの“奥の手”』

格差、貧困、下流、難民、ワープア、…だからなんなのだ?と問われたとき。
いま、僕たちにとって必要なものとは、とうとう、
「そのときどうすればいいのか?」 になってしまった。
働けなくなったとき、どうすればいいのか? 
これからの時代では大いにあり得ることなのに、相変わらず僕たちは知らなすぎると感じる。

この本で述べられてる、これがこの国のセーフティネットだ。
守られてると思っているのなら、話にならないほど、制度は脆弱なことがわかるだろう。
しかし一方で、知識があって制度を有効利用することができれば、なんとか生き延びれることをこの本は示している。

「働けません」とギブアップすることが忌み嫌われる世の流れの中で、どこまで自分の限界と相談して、取り返しつかなくなる前に立ち止まって考えれるか。

こんな本を読んで、おお役に立つなあなんて感心してる時点で、既に世の中終わってるなと思う。ただそれでも生きていきたいから、興味を持っているのだ。
少なくとも僕はこの終末世界を生きていけるなと確信した一冊。
ああノベルを述べる158
◇清涼院流水『コズミック水』

最後の4冊目を読んじゃった。
連続密室殺人事件の全ての謎が、遂に…。
えーと。
「密室卿」の正体は。
えーと。

驚愕。ガクガク。ガクッ。
すげ。
とにかくすげ。
コズミックねなるほど。

なんとなくわかった。
作者がなにがしたかったのか。
「密室卿」そのものじゃないかねこの作品自体が。
ノベルを述べる157
◇清涼院流水『ジョーカー涼』

幻影城事件の解決編。
ぶっとび。
連続殺人鬼「芸術家」の正体は。
かっとび。

笑えるんだが笑えないような笑っていいのかなこれギャハハ。

でラスト『コズミック』下巻読むとどうなるのかな。
ノベルを述べる156
◇清涼院流水『ジョーカー清』

『コズミック』の下巻を読む前に読まされる。なんでも物語が対をなしてリンクしており、この読み方で読んで初めてある仕掛けが浮かび上がってくるというのだ。

−陸の孤島・幻影城に出現した殺人鬼「芸術家」。推理作家集団・関西本格の会のメンバーたちが次々と奇怪な見立て殺人により消されてゆく中、遂にJDC(日本探偵倶楽部)が動き出す。

なんかやってくれたっぽいぞこれは。
読み返しながら読んでもわけがわからん。
おっおっ。
ノベルを述べる155
◇清涼院流水『コズミック流』

−「1年に1200人を密室で殺す」。1月1日0時1分に、衝撃の犯罪予告FAXが警察&マスコミに送られた。犯人の名前は「密室卿」。
この予告を皮切りに、日本全国各地で次々と勃発する超絶密室無差別連続殺人事件。被害者は全て同様に不可能密室で、首を切断され、背中には血の数字が残されてゆく。
40個くらい密室があったけど、とにかくどの密室もありえない。不可能以前のシチュエーションで、首が次々落ちてゆく。
推理界で大論争を巻き起こした超問題作だとか。

これありえないやん。不可能犯罪以前やん。
わかった。犯人はデストロンの怪人なのだー。

うーん先が読みたい。絶対ありえねーであろうトンチキなオチを幾分期待しつつ、まずは『ジョーカー』を読まされるようだ。

ニト

2008年4月10日 読書
雨宮処凛『雨宮処凛の「オールニートニッポン」』

僕はこんなふうにニートを賛美したくはないなと思ってたけど。
処凛さんの取り組みもなんだかなあと思うものもあったんだけど。
でも、この本は結構面白かった。

ニートも、ニート批判も、ニート擁護も賛美も、どう足掻いても藻掻いても、終わってる人には著しくそれは終わってて。
運良く楽しく生きれてるなら、きっと感謝が先で。
ほとんどの人がワリをくってる構造はいま見えてこなくても、いずれ笑えなくなる日が来ることは知っていて。

馬鹿馬鹿しい無力感だけ残ってしまったなら。
撤退することで唯一の抵抗をしてるつもりで。
今さら肯定の仕方がこれなのかよとか思う一方で。

とりあえずこんな世界に生きてしまっているのだから。
なんとか前向きに生きていこうとすることってのは、
かけがえのないエネルギーであって、
たとえ笑われ見下され指さされ無視されても、
そんなものはむしろ時代に対して遅れてんだろうと思う。
死にかけてるから必死になってんだと思う。
誰かのためにつくられたニートとかいう言葉は、必死で独り歩きをしているよ。

ニートなんて語るための問題ですらないというこの本を読んでの結論です。
ノベルを述べる154
◇乙一『失はれる物語』

機能しないもんだから。荒技レビュー。アハ。
しかしはやっく復活を。むかむか。

乙一の話のドクロい中に潜む暖かさがすき。

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