笹山尚人『人が壊れてゆく職場-自分を守るために何が必要か』

著者は、労働問題を主に活躍する現役弁護士さんです。
狂った現場の労働実態、イカれてる会社に、勇気を持って立ち向かっています。
壊されて潰されかけているどーしょーもない弱者のために、愚痴でもなく気休めでもなく、自分の持つ全ての力をもってして闘う姿には、感動します。
いまや労働基準もなにもあったもんじゃなくて、企業はほんとにえげつないやり方で労働力を使い捨てています。
労働者側も、合法内ならば手段を選ばずに主張していかなければ、泣き寝入りで終わるだけなのです。
働く人一人一人が自分が持っている権利を知ること。
労働組合を、機能させてゆくこと。
いまわずかに残されている権利を正しく行使するだけでも、かなりのものが救われてゆくはずだという筆者の意見は、まったく僕の意見と同じなのでした。
労働法を学ばなければ、僕も、潰され壊されてゆく労働者の一人だったんだ絶対。


「こんな社会」になってしまったことに、労働者の側に責任はない。
しかし、「こんな社会」で働いて生きていく以上、自分の心身を守り、自分や家族の生活を豊かなものにしていくことは、自分で考え実践しなければならないこともまた確かだ。



ニッ本

2008年12月17日 読書
波頭亮・茂木健一郎『日本人の精神と資本主義の倫理』

大衆をメインにおく日本型経済至上主義は、「売れてなんぼ」以外のものを価値にしないから。
対立軸のない、経済一軸のモノカルチャー社会。
平均値に引きずり下ろす「ピア・プレッシャー」。
ノーブレス・オブリージュもなにもあったもんじゃない。
っていう本。

中毒になってからドラッグ取り上げられた苦しみの是非なのか。
もともと豊かさに実感のない国で論じられる格差問題への。

この国のしあわせが、経済格差なんかで論じられちゃうことに、
それでいいのかよって、言われても、そんなこと言われても、

きっと目を覚ましても変わらない、たぶんハイな人からすればすっげーくだらなく秩序やってるのが、僕も同じようにぐだぐだ言いながら、やっぱり線は引けないのです。
弱者は弱者であっていいと僕は思うのです。
日本漬けにされちまった中で、立ち向かえなくても、ささやかに生きてゆければいいと。
ハイ層が、弱者を、愚かさも含めて守ってゆくことが。

やはりただささやかな生活を守りたいのです。
そのことがどれだけのことなのかなのでしょう。

ニホンよニホンよお前たちはどこにいる。
なのかなあ。
大田のりこ『プチ生活保護のススメ―我が家にも公的資金を! 短期間・不足分のみの受給もOK!』

非常に良質な本です。
生活保護について最近色々本を読んでるけど、どの本を読んでも、世のイメージと実態がかけ離れてることをまず考えさせられるのです。
この本は、安易に頼られる受給マニュアルでもなければ、わかりづらい論争を含んでもいません。
不正受給を防ぎ、本来保護が必要な人たちへの漏給を防ぐという、当たり前の運営を健全にやってくために、まず考えなければならないことが多すぎるのだけど、僕たちが知っておけばいいことってのはこうゆうことなんでしょう。
あとがきで筆者が考えた10項目をあげているんだけど、僕が考えてたものとピッタリだった。


◇堀辰雄『風立ちぬ』

堀辰雄の代表作。
-主人公の愛する人、節子が、結核のため高原のサナトリウムに入ることになった。主人公は共に高原へ赴き、節子に寄り添う。


全然ドラマチックなことは起きず、ただ高原で時が流れるのだけど、これは素敵な作品。
どんな人もいつか死ぬ。だから生きているということが言葉にならないのかもしれません。
◇千原ジュニア『14歳(MouRa)』

千原ジュニアがひきこもりしてた14歳頃を描いた自伝小説。
カオスと向き合う過程の中で、兄貴とお笑いを始めるラストが素敵ですね。


僕にもこんな頃があったなあと思った。
気持ちはすごくわかるなあ。
故に、感動とかはまったくなかった。

SG

2008年12月10日 読書
福本潤一『創価学会・公明党「カネと品位」』

破門されて以来イカれ加速してるらしいいまやカネまみれの池田教。
筆者の方は、疑問を持ちながらもいくら払っちゃってるのよと。


右翼じーさんを思い出した。
ボロクソのメタメタにSGと公明党を批判してた彼も、実は仏罰が下ったのですかね。
◇古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』

-1943年、日本軍が撤退したキスカ島に残された4匹の軍用犬。すべてはそこから始まった。戦争の世紀を疾走する、壮大で鮮烈なイヌたちの叙事詩。
イヌよ、イヌたちよ、お前はいま何処にいる?


すんごく読みづらかった。
takebonoには珍しく挫折しかけた本でした。

問題の問題

2008年12月2日 読書
養老孟司・池田清彦『ほんとうの環境問題』

間違った「環境問題」がイメージ先行してるよ、って本。
「問題」問題論、てかんじでいろんな視点から切ってる。たしかにオゾン層も環境ホルモンも騒がれなくなってるよな。
結局は、既存のシステムをすぐには変えられないとゆうことと、科学の問題なのに政治問題が絡んでいるとゆうこと。

なにかを持続するために、それを支えるために依存するエネルギーのキープ。肉体は食物。生活は賃金。公共サービスは税金。年金は保険料。これまで文明は石油石炭エネルギーに依存し発展してきたけれど、その依存がもう持続できないなら、コストをかけてでも代替エネルギーをもってこなけりゃならない。
ただそのコストが、いろんなやつの思惑と誤った情報認識のために、ぐちゃぐちゃになってること。環境問題とゆうささやかな倫理観につけ込んで。

一方で、僕たちはこうゆう問題に対し何ら知識を持たないから、なにが正確な情報なのかまるでわからない。わからない中で判断するしかない。選挙と同じかもしれない。
知識ある人の論争を見つめることしかできないし、その結果判断するしかない。
なによりも、起こってしまってからじゃ遅い問題だというからきてるんだから、信じるも信じないもない。都合良く現れたものだとしても、可能性を危惧してるんだろうからだ。
ほんとうが本当かどうか、わからないから、慎重になることしかまずはできないのかもしれない。

本自体、収拾ついてないかんじ。
環境問題以前にあるもの知っておきながら、環境問題についてなんか、こんなふうに語れちゃうから、くだらなく見えるのかも。

ぷーっ

2008年11月26日 読書
『なおかつ、お厚いのがお好き?』


結局読んじゃった。
おもしろかった。

あっつー

2008年11月24日 読書
『お厚いのがお好き?』


おもろかった。
たしかに無謀な挑戦をしてみたくなる本。
◇京極夏彦『百器徒然袋―雨』

久々に京極堂を読む。
榎木津が活躍するけど京極堂もそれなりに活躍。

鳴釜。
瓶長。
山嵐。
それこそ物の怪ってかんじかな。
だから百器なのか。

社労士

2008年11月15日 読書
河野順一『ドキュメント 社会保険労務士―社会行動派社労士が市民に語る』

労基署や社保事務所と、こんなふうにやりあえることができたら、すごくすてきだよね~。
ただ、物書きプロではないので、文章は笑えたり驚いたり。自伝でよい。
安冨歩『生きるための経済学―〈選択の自由〉からの脱却』

神様から見れば、ぼくたちの自由なんて、出来損ないのインスタントラーメンみたいなもんなんだろう。
市場が用意してくれる選択の自由は、そんなぼくたちのニーズを、ただ効率いいシモの処理みたいのに必要なインフラの整備なんだろう。
社会が秩序を望むなら、ぼくたちは決して目覚めてはならない脳味噌の一部みたいだ。
生産と消費と再生産に依存したシステムが、自己増殖と回転を繰り返しながら、経済と呼ばれてる。
獲得したものが何一つ無くても、価値をなぞるだけであったとしても、自由の牢獄はどーしょーもないぼくたちを守ってもいるんだろう。
ぼくたちは、本当のことなど何一つ知らないから、生きていられる。
前を向けるなら、欺瞞でさえ、支持してもいいとさえ思う。
苦しみは、心臓の鼓動のように、生きるためにこそ在り続けてる。
最初から希望に呪われた世界で、自由に死ねるために、どれだけ生きるための何かをどんだけくりかえすんだろう。

◇角田光代『だれかのいとしいひと』

やっぱり角田さん読んじゃう。
-恋愛、だとか、友情、だとか、幸だとか不幸だとか、くっきりとした輪郭を持つものにあてはまらない、あてはめてみてもどうしてもはみでてしまう何ごとかがある。その何事かの周辺にいる。

「僕は最近、運命なんてものを信じないし、いや運命ってものがあったとしたら、そいつはものすごく簡単な、お手軽な、吹けばどこへでも飛んでいくような、とても無意味なものだと思うようになってしまって」


「…抵抗はできないんだろうか。 
 …その、無意味な、お手軽な運命に、風船みたいに飛ばされるんじゃなくて、どっかと根を張って流されないことってできないのかな」



ア メリーカ

2008年11月6日 読書
堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』

アメリカ社会の現実をルポった本。
この作者の前作を読んだときよりも、冷ややかに読んだかも。
あらためてアメリカは酷いなと。
教育。医療。雇用。戦争。
日本の10年後かなと。
逆にいえばまだまだ日本はアメリカの10年前なのかなと。

もはや経済の一部となった「貧困」。
消費される「いのち」。
世界中のワーキングプアが、戦争をビジネスにまでする力学を支えている。
味方さえわからないぼくたちは簡単に敵を間違えるだろう。
暴走と犠牲をむしろ糧として回る、暴走型新自由主義の果てに、ささやかな幸福を喰らい、人間を使い捨て、弱い者から奪ってゆくアメリカとゆうこの無慈悲な貧困大国を、僕はいま白い目で見ることくらいしかできないよ。
日本をこんな国にはしたくない。でもこのままじゃこんな国になるね。
takebonoさんがなんとかするしかないよねっ。
◇山崎豊子『沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下)』

「この地球上で最も危険で獰猛な動物は人間である」
不正と乱脈が次々と明るみに出始めた国民航空。政・官・財の癒着による腐敗構造は、畏れを知らぬ魑魅魍魎巣くう暗黒の世界であった。改革を続ける国見と恩地を、その深き闇が飲み込もうとしていた。
最悪の腐敗闇であった巨額ドル先物予約疑惑は、その隠蔽のためにとうとう“閣議決定”にまで持ち込まれる。
果てしなき闇の果てに恩地が再び見たものは、悠久の大地を荘厳に輝く沈まぬ太陽だった。


ついに完結編!
このラストなによ。
恩地ーーー!!

Ⅱ世(14)

2008年10月20日 読書
ラ、ラーメンマーーン!!


ほんとこのシリーズは旧来ファンのためだけに描かれ続けてるかんじだわ。
ゆで先生後先考えてないしょ。
◇山崎豊子『沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上)』

-墜落事故後、新会長に就任した国見は、会社の腐敗を一掃すべく組織改革を開始した。改革に必要な部門として設立された会長室には、国見たっての希望により、遺族係から恩地が大抜擢される。政・官・財を巻き込んだ、利権をめぐる魑魅魍魎と腐敗の闇構造が、次々と明らかにされていく!


恩地!がんばれ!
◇山崎豊子『沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇』

-ジャンボ旅客機、御巣鷹山に堕ちる!!
十年におよぶ絶望生活に耐え、本社復帰をはたした恩地。しかし彼を待っていたのは、尚終わらぬ逆境の日々であった。そしてついに運命の日がやってきた。航空史上最大のジャンボ機墜落事故の発生は、犠牲者五百二十人をだす大惨事となったのである。
凄絶な遺体の検視、事故原因の究明、非情な補償交渉。救援隊として現地に赴き、遺族係を命ぜられた恩地は、想像を絶する悲劇に直面し、苦悩する。
犠牲者たちの声なき声が、生きとし者の慟哭となり、暗黒の空を震わせる。


ただただ凄まじい展開です。
◇山崎豊子『沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下)』

-混沌のカラチ、砂漠の街テヘラン、そして地の果てアフリカ。
10年にわたる流刑の日々の中で、帰任を待ち続けた母は死んだ。同期の友は自分を裏切り幹部コースをのし上がっていた。そして、腐敗体制から起きた連続事故が、サバンナで苦悩する恩地の運命を揺れ動かす! いま、遥かなる地平線に沈むアフリカの夕陽が、絶望の日々に別れを告げる。


恩地ーー!!

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