◇村上龍『コインロッカー・ベイビーズ(下)』

下巻は一気でした。
キクとアネモネが、ダチュラもって東京を突っ走るとこは震えました。

破壊ハカイ。かつてあのUS氏が呟き続けた破壊衝動は、あの頃一瞬おとずれた世紀末の、その生命の源のような。自分たちが何者であればよかったのかということだった気がします。
なんという心強さなのか。

「おれたちは、コインロッカーベイビーズだ」


◇村上龍『コインロッカー・ベイビーズ(上)』

-コインロッカーで産声を上げた2人の少年キクとハシ。廃墟と化した東京を、愛と憎悪に生きる神の子たちは、大地を跳び、ステージに立ち、世界を疾走する。求めるは世界の鼓動。海底に眠るは破壊のエネルギー。

どーしょーもないものに立ち向かい立ち尽くす2人に、絶対に届かないはずの声を、しかしかけずにはいられない。
キク、ハシ、がんばれ! ダチュラ!

強烈で衝撃で新鮮。

◇浅尾大輔『ブルーシート』

-3年前に電気設備会社をクビになり、派遣労働者として渡り歩いてきたヒロシ。年末に1週間後の解雇を通告された直後に母は死んだ。
「ロスジェネ」編集長浅尾さんのデビュー作。

文章はもうどーしょーもねーとして、「貧困文学」というのはわかる気がしました。
現代版「蟹工船」なんてのが実際あったら、読みたい人って実際いるのか?と思っていたけどこれがそんなかんじ。
内容は陰鬱だが、ところどころしょーもなく笑えるネタがね。

◇京極夏彦『続巷説百物語』

-狐者異、野鉄砲、飛縁魔、船幽霊、そして死神、老人火。

巷説百物語の続編。又一登場。
人の世は、妖怪だらけですなあ。


角村俊一『働く人が会社ともめずにつきあう方法 (かしこく生きるためのシリーズ)』

かしこく生きるシリーズすきです。
ほんとに今の世の中はかしこく生きなきゃーやばいから。

しかし、いま同じこと聞かれても、こうゆうことと同じくらいのことしか言えねーだよ。
おいらもっともっと現実に即したものをもっともっと知りてーんだけどさ。

やっぱし実際のノウハウとなると当然オフレコ。
こんなところではしゃべりませんです。
自分以外の責任もとれないし。

現実は様々なバランスで成立してるから。
正しさのままに生きれたらどんなに幸せだろうかと。

◇桐野夏生『東京島』

-32人が流れ着いた太平洋の無人島。たった一人の女・清子の4番目の夫を決めるクジ引きで選ばれたのは、記憶喪失の男・ユタカだった。
いつしか皆に呼ばれ始めた「トウキョウ島」で、人間たちは各々の生を謳歌する。


ゲッいま知った。これ映画化すんのかよー絶対微妙だろなー。

そふぃ~

2009年12月27日 読書
ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙』

10年前に半分読んで放り出したままの本を、
いま手に取ってみたら一気に読み終えていた。

難しいことは何一つ無いのが哲学。
あらゆる学問や科学の根っこ。素敵なる知。
古代から現代科学まで、貫かれている知の体系、歴史。
きっとだれでも一度は妄想したことのある、
世界や、自分や、生きていることや、存在してることへの、
考え方。
思い方なのだわ。

日々のあれやこれが、些末でちっぽけで、
対応しなくてはならないものにしかすぎないことに、
理屈なんかこねればこねるだけ疲れるのかも。
一生懸命に生きようとすれば、真摯に向き合おうとすれば、ぶつかるものはいつだってくだらなさと馬鹿馬鹿しさ。
それぞれの限界までの知を持ってして、真っ向勝負で、世界や存在や生命に挑んでいった哲学者たちに、
到底申し訳ないような知の使い方しかできないんだもん。

師走の夜空に、ビッグバンに思いをはせながら。

この広い宇宙で、
あなたは誰だっけ?
takebonoさんですよ。


◇角田光代『ドラママチ』

うーん角田さんすぎる。
とりわけ全ての物語の舞台が中央線沿線ですから、ピッタリなんだろうなあ。

角田さんの文章が飽きるとか飽きないとかじゃなく、雰囲気が、結構ずっとすきなんだよね。


小阪修平・ひさうちみちお『イラスト西洋哲学史(下)』

時計の針が回ること。
いろんなことを知りながら。
ただ一度の世界の中で。


小阪修平・ひさうちみちお『イラスト西洋哲学史(上)』

哲学者てたいしたもんだ。
世界の理を現す言葉の旅。

◇貫井徳郎『慟哭』

-連続して発生した幼女誘拐殺人事件の捜査は難航をきわめ、異例のスピード昇進で名をあげた若手キャリア捜査一課長・佐伯を窮地に立たせていた。警察内部の不協和音と世論とマスコミが彼を追いつめる中、事件は急展開をみせる。
人は耐えがたい悲しみに慟哭する。衝撃デビュー作。


まあ僕はいろんな意味で慟哭でした。

前後して

2009年11月26日 読書
白取春彦『哲学は図でよくわかる 図解でスッキリ超入門』

『決壊』に前後して哲学なんかを。
どの学問もそうだけど、哲学なんかももっと理解できやすいようにならんのかな。
こんなふうに図でわからされるとバカにされてる気もしないでもない。
文学も政経もTVでやれるようなのからそろってるけど。
何か成せるほどめりこむよりか、さわるだけでよくても悪くないと思うのに。
知の論理を積み重ねた歴史。
ふれるだけでも素敵なのにね。もったいない。


決壊途中で

2009年11月25日 読書
小阪修平『そうだったのか現代思想―ニーチェからフーコーまで』

『決壊』を読む途中で手にとって結局『決壊』より先に読んじゃった。
知とは底が知れないなあ果てしない。
たいしたもんなんだなあとだけ、現代思想というものは。
なるほど「決壊」しますわなこりゃあ。

続き。

どうしてもその決定的感から離れられないまま読み終えた。

誰か周りでこれ読んだ人いないかな。
初めてそんなふうに思わせてくれたこんな本が。
こんな読後感も新鮮です。

◇平野啓一郎『決壊』

-2002年10月、全国各地で発見された犯行声明付きのバラバラ遺体。犯人は自らを〈離脱者〉と名乗った。被害者の兄でエリート公務員の沢野崇が容疑者として逮捕されるが、殺人の連鎖は止まらなかった。東京をテロリズムが襲う最中、真犯人〈悪魔〉の正体が暴かれる。


これはすごい話。
これをストレートに描いちゃうか。
なんか決定的になっちゃったかんじ。

大瀧雅之『基礎からまなぶ経済学・入門』

貨幣は、流通を続けることで価値を保持できる一種のバブルで。
パレート効率を押し進める中で、ナッシュ均衡をどう扱い、競争ゆえの独占にどう対処し、社会正義をどう設定し、適切な配分をして人それぞれその個人なりに、よりよく充実して生きてゆくのかが。

知ったかぶりのものにしかなんないくらい、わかってないことをわかっていて、それなのに経済学ってなんかすきなんだ。
切り取り方が腑に落ちる気がするんだ。
人間がシステムに動かされてること。


◇夢枕獏『魔獣狩り〈鬼哭編〉』

-「ぱんしがる」の巣の中で、遂に相見えた美空と猿翁! 戦闘の最中、空海へのサイコダイヴを決意する九門鳳介! 復讐の戦鬼・文成仙吉が獣人・蟠虎を追いつめる! 黒御所の野望の結末は! 圧倒的スケールの三部作が、いま壮絶に幕を閉じる!

やっと入手して読めた。
いや面白かった。


◇平山夢明『ミサイルマン』

平山夢明の短編集。
SF?グロホラーとでもいえばいいのかに。
やっぱり人には薦められない。


マイ労基法

2009年9月22日 読書
下山智恵子(著)平野敦士(監修)『労働基準法がよくわかる本 最新改訂版』

レイアウトとか書き方がわかりやすいです。
すらすら読めまっせ。

数年前まで考えもしなかったな。
こんなふうにこの国の働き方は決められていること。
ずーとどっかにひっかかってた、働くということへの、僕なりのいまの答え。
黙って黙々と真面目に働き続けてきた労働者が報われないことが不条理だと嘆かれることも、それもどーにもピンとこなかったときのことも。
慣行に守られていたものと、自己主張しなければ守れないものがあって。
経済があって利益があって、その合理性の行き過ぎから労働者の生活を保護する基準もあって。
やっぱりたかがされど法律ってことなんですね。

必要としなければ、知る必要さえないもので。知る機会なんか訪れない方が幸せだと思うほど。
でもそんなものを必死こいて勉強したいなと思ったんだよねあの頃は。
運がいいのか悪いのか、この法律を必要とする機会なんか次々にあって、学んでおいてよかったなと思うこともたくさんありました。
今後も労働基準法は僕にとって答えの一つであり続けるんじゃないかと思う。
そんな予感だけがする。
◇伊坂幸太郎『グラスホッパー』

-元教師の鈴木は、妻を殺した男が路上に突き押され車に轢かれる瞬間を目撃する。復讐を横取りされた鈴木は、犯人「押し屋」を追跡する。
一方、「自殺屋」・鯨と、ナイフ使い・蝉の2人の殺し屋も、それぞれの物語の中で「押し屋」を追い始める。
命をかけた殺し屋たちの物語が交錯する。


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